映画「クーキー」ネタバレあらすじ結末と感想

クーキーの紹介:2010年チェコ映画。大好きな少年オンドラと引き離され、捨てられてしまったテディベアのクーキーが、困難に見舞われながらも必死に家路を目指す。少年の現実と夢想を行き来するチェコの人形アニメ。
監督:ヤン・スヴェラーク キャスト:オンジェイ・スヴェラーク(オンドラ&クーキーの声)、オルドジフ・カイゼル(ホームレス)、ズディニェク・スヴェラーク(ヘルゴット)、ほか

映画「クーキー」解説

この解説記事には映画「クーキー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

 喘息のオンドラは、母親にぬいぐるみは埃が出て発作の原因になるからと、大切にしていたクーキーを他のおもちゃと一緒に捨てられてしまった。ゴミ収集車に回収されていくのを見ながら、オンドラはクーキーが生きていますようにと祈った。
 ゴミ捨て場のクーキーはスクラップにされる前に、邪魔をしてくるゴミ袋達をかわしながら近くの森の中へ逃げ出し、さまよううちに森の神様達をたばねる村長に出会った。家に帰るように勧められたが、帰り方のわからないクーキーは邪険にされながらも村長のあとをついて回った。
 森の中では、住人たちが集まり落ちていた携帯電話に興味津々、すると一羽の鳥が警報を告げ住人達は避難所へ逃げ込んだ。

 やって来たのは、ゴミ捨て場にクーキーを連れ戻そうとするゴミ袋達。拾った携帯電話で自分はゴミではないと証明しようとしたが、電話に出た母親にはクーキーの言葉はわからなかった。村長はクーキーがゴミ捨て場に戻るのを拒んでいるのを見て、ごみ袋達から解放させ、太陽に向かって歩けばそのうち道に出るだろうと言い含めた。しかし暗闇の苦手なクーキーは陽が沈んでしまうと村長の所に戻って泊まらせてもらう事にした。
 村長の座を狙う森の乱暴者アヌシュカは、ゴミ袋達と手を組み村長からクーキーを取り上げようと夜の村長宅に忍びこんだがベランダ寝ていた彼らを見つけることができなかった。翌朝クーキーは太陽の昇る東へ歩いて行った。
 村にゴミ袋達から困っている犬がいるので助けてくれないかという依頼が来た。森の外の事なので管轄外だと一度は断った村長だったが、アヌシュカが救出に名乗りを上げ、犬を助けられるかどうかで村長の器を競う羽目になってしまった。
 老齢で目が余り見えない村長は車の運転がおぼつかず、ツルマキにつかまっていたクーキーを助け、自分の目の代わりを頼んだ。途中、川に行き当たると、中の詰め物が濡れたら困るクーキーを村長は負ぶって川を渡った。

 途中でトラックに作った巣で子育てをしている鳥に道を教えてもらうと、柵の中にポリタンクを首に繋いだ犬がいた。別段困っている訳でもないので、逃がすべきか悩んでいると、先程の鳥が巣のあるトラックが動き出して卵が連れていかれてしまったと助けを求めてきた。犬の次は卵をとりかえす作戦が始まった。
 森の中でスピードを出すと、周りは雪景色に。雪に埋もれたアヌシュカを一度は引き離すことはできた物の、麦畑の中て再び追いつかれそうになってしまう。何とか追走を逃れてトラックに追いつき、垂れていたチェーンでクーキーは荷台に上がり自分のお腹を割き、風手で巣が飛ばされる前に詰め物間に卵を入れた。
 けれどアヌシュカの車の荷台に落ちてしまったクーキーは、積まれた藁の中に卵を隠し、ゴミ袋達につかまる前に逃げ出した。再び村長と合流したクーキーだったが、雪の中に車ごと突っ込み、抜けられた頃には詰め物が濡れてしまっていた。
 焚火の横で詰め物を取り出し乾かしながら、村長はアヌシュカが自分の息子だという事、自分が元々森の住人ではなく中国製のおもちゃだと打ち明けた。そしてある場所に行けば未来も過去も分かるのだと言った。
 休んでいた二人の所にアヌシュカ達が乗り込み、クーキーの詰め物を燃やし、村長をペットボトルに入れ、森に火をかけながら、村長が森を燃やそうとしたと吹聴しながら森の住人達の元に戻り、村長の首を吊ろうと提案した。

 気管支炎で病院に運ばれたオンドラには、クーキーの冒険が見えていた。クーキーは、やって来た番いの小鳥が自分達の羽を詰めてくれたおかげで再び立てるようになり、ゴミ捨て場に連れて行かれてしまう村長を助けた。二人は未来と過去がわかる場所で、クーキーが再び戻ると書いてあるのを読んだ。
 そして、オンドラの元に戻って来たクーキー。中に鳥の羽が詰まっている事に気づいたオンドラは、自分が見ていた物が夢ではないと確信した。
 そして柵に入っていた犬と同じ犬を連れた浮浪者が倒れ救急車で運ばれようとすると、その手にクーキーを握らせた。彼が死んだら捨てられるかもしれないけど、元気になったらまた二人でアヌシュカを懲らしめる事を信じて。

以上、映画クーキーのあらすじと結末でした。

 喘息のせいもあってか、ベッドで夢想することの多いオンドラ。森の中を冒険するクーキーを俯瞰した映像と、オンドラの現実世界時々リンクする。それはまるで、クーキーがオンドラの分身だったようにも思えてくる。森の中や畑、雪野原を走るクーキーの姿は、オンドラの理想なのかもしれない。

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