映画「インスペクション ここで生きる」ネタバレあらすじ結末と感想

インスペクション ここで生きるの紹介:2022年アメリカ映画。ゲイを理由に16歳で母から捨てられ、 10 年間ホームレス生活を送っていた青年フレンチ。どこにも居場所はなく、存在意義を追い求める彼は、生きるためのたったひとつの選択肢と信じ海兵隊へ入隊した。しかし、訓練初日から教官の過酷なしごきや激しい差別に遭い、理不尽な日々に幾度も心が折れそうになる。心が折れそうになりながらもその都度自らを奮い立たせるフレンチ。孤立を恐れず他者を見限らない彼の信念は、徐々に周囲の意識を変えていく。エレガンス・ブラットン監督自身の体験を描き、世界で絶賛された心揺さぶる実話。
監督:エレガンス・ブラットン 出演:ジェレミー・ポープ(エリス・フレンチ)、ガブリエル・ユニオン(イネス・フレンチ)、ラウル・カスティーヨ(ロザレス)、マコール・ロンバルディ(ローレンス・ハーヴェイ)、アーロン・ドミンゲス(カストロ)、ボキーム・ウッドバイン(リーランド・ローズ)ほか

映画「インスペクション ここで生きる」解説

この解説記事には映画「インスペクション ここで生きる」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

イラク戦争が長期化する2005年のアメリカ。
ニュージャージーのトレントンで、ゲイを理由に16歳で母親から捨てられて10年もの間ホームレス生活を続けてきた青年フレンチは、自らの存在意義を求め続ける毎日でした。

そんなある日、フレンチは大きな決意を胸にホームレスの宿泊施設を出ようとします。ホームレス仲間の老人が、もうここへは戻ってくるなと見送りました。

フレンチが向かったのは自らを見捨てた母親の家。海兵隊に入るために出征証明書をもらいに戻ったのです。しかし母親はドアチェーンをしたまま彼を入れようともしませんでした。

しばらくして開いたドアから入ったフレンチは相変らずの宗教画で埋め尽くされた壁を見上げ、始終流れている牧師の講話に懐かしさを感じながら母イリスと向かい合いました。

敬虔なクリスチャンであるイリスは、触れることすら嫌うほどフレンチがゲイであることを憎んでいました。
イリスは、ゲイの息子にこんなものは意味がないと、出征証明書を投げつけフレンチを追い出しました。

フレンチは海兵隊に入るためにブートキャンプと呼ばれる新兵訓練所に入所しました。人間としての誇りを持つことができると希望を抱き入所したものの、訓練は過酷なものでした。

冷酷無比な軍曹ローズは訓練生1人1人に聞いていきます。
「共産主義者か?」「重犯罪をしたことはあるか?」

そして「同性愛者か?」と。
フレンチはナーバスになりながら「ノー、サー」と答えました。

しかし事件が起こります。
シャワーを浴びている中、魔が差したフレンチは仲間の身体を見ているうちに妄想が膨らんでしまい勃起しているところを目撃されてしまいます。

仲間たちにゲイであることが知られてしまい、訓練生だけでなくローズら教官たちからも加虐されフレンチは追い詰められていきます。

フレンチと同じくローズから目の敵にされている仲間もいました。イスラム教徒のイスマエルです。異質の存在として射撃訓練の的にされたり、仲間からひどいしうちを受けたりしてもローズは止めようとしませんでした。

そんなローズの横行を見かねた訓練官のひとりロザレスは「性的指向を咎めては海兵隊員がいなくなってしまう」と進言しますが、ローズは聞き入れません。
「私の仕事はモンスターを生み出すことだ。この訓練を耐えることができれば彼はモンスターになる」と。

フレンチは母イネスに何通もの手紙を送っていました。しかし返信はありません。希望を失いかけていたフレンチにロザレス教官は「なぜここにいるか考えろ」と励ました。

規則を破りロザレスから携帯を借りたフレンチはイネスの職場へ電話をかけました。イネスの声は冷たく「もう追い出されたのか」と一言。フレンチは卒業式に出席してほしいとだけ伝え電話を切りました。

こうして訓練は終了し、フレンチは晴れて海兵隊員として採用されることとなりました。

卒業式ははじまり、来客席を見回すフレンチ。しかしそこに母イネスの姿はありませんでした。式も終盤にさしかかり、フレンチが肩を落としているところへイネスがやってきました。笑顔を浮かべるフレンチに、イネスも微笑みを返しました。

式が終わり、家族との食事会が設けられ、フレンチはイネスと向かい合ってテーブルにつきました。ユニフォーム姿の息子を誇らしげに見つめるイネスは「これからあなたを見てたくさんの女の子が会いに来るわ」と言いました。訓練の中でゲイは矯正されたものだと信じていたイネスに、フレンチは以前のままゲイだと伝えました。

イネスの表情は一変し、タバコに火を点けようとします。フレンチに禁煙だと咎められるとイネスはヒステリックに立ち上がり声を荒げ反論します。

しかしここでイネスを止めたのはローズでした。「フレンチは我々の仲間だ」と。仲間たちも一斉に声を出し合唱のように彼女を非難しました。

追い出されるように立ち去るイネスの後を追うフレンチ。
イネスは「あなたを愛しているけれど、どうしても受け入れることができない」と残し去っていきました。それでもフレンチは決してあきらめないと前向きの姿勢を見せました。

外の空気を吸いに出たフレンチの横を偶然上官が通りました。
「君たちの努力に敬意を表する」
上官の言葉に胸を張り涙ぐむフレンチでした。

以上、映画「インスペクション ここで生きる」のあらすじと結末でした。

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