映画「ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実」ネタバレあらすじ結末と感想

ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実の紹介:2018年アメリカ映画。怪我をきっかけに論文を読み漁ったジェイムズ・ウィルクス。ある論文が彼の目に止まり、大昔の格闘家は菜食であったことを初めて知ります。最初は半信半疑のジェイムズでしたが、様々な研究結果、そして実体験から、これまでの世の中のスポーツ栄養学が覆されます。スポーツ選手に肉は必要なのか、菜食主義がもたらす恩恵はなんなのかを追求していくドキュメンタリー映画です。
監督: ルイ・プシホヨス 出演: ジェイムズ・ウィルクス、スコット・ジュレク、ドッチィ・バウシュ、パトリック・バブーミアン、ケンドリック・ファリス、ジェイムズ・ルーミス、ブライアント・ジェニングス、アーノルド・シュワルツェネッガー、ファビアン・カンズ、ロバート・ボーゲル、リップ・エセルスティン、ほか

映画「ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実」解説

この解説記事には映画「ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

海兵隊基地で防衛術を教えているジェイムズ・ウィルクス。彼の少年時代は活発で、両親は息子を極真空手に連れていきます。それをきっかけに、ジェイムズは空手に撃ち込むことになりました。そして、いつしかブルース・リーに憧れ始めます。しかし、10代のときに襲われて袋叩きにされたことをきっかけに、稽古をして身に着けた空手の型は実践には無力だという現実を知ります。実はブルース・リーも同様の経験をした後、格闘を探求し続け、優れた多くの武術を習得していきました。それを知り、ジェイムズも同じ道を歩もうと決意します。

その後、15年で5つの黒帯を取得し、格闘技のウェルター級で2009年に優勝しました。しかし、その後両ひざの人体を損傷する大けがを負い、半年の休養を余儀なくされました。

その間、ジェイムズは科学論文を読み漁り、1つの考古学の論文が目に止まります。

トルコのエフェソスの墓地に多くの剣闘士が埋葬されています。少なくとも68体の遺骨が考古学者により復元されます。5000本以上の人骨の分析が進み、当時の剣闘士には骨ミネラル密度が著しく高いことがわかりました。それは激しい訓練と良質な食事によって強い筋肉と骨が作られた証。剣闘士は“ホーディアリ”と呼ばれていて、“意味は大麦を食べる人”。剣闘士の多くは菜食主義だということが分析結果で明らかになったという論文でした。それを知ったジェイムズは衝撃を受けます。

スポーツ選手は肉食か菜食かをめぐる論争が、UFCのとある試合の争点までになりました。世界チャンピオンのコナー・マクレガーの対戦相手はネイト・ディアス。マクレガーは大の肉好きで毎食ステーキを食します。一方ディアスは菜食主義です。

現在活躍しているスポーツ選手で、菜食主義の人物はいるのか。ウルトラマラソン選手のスコット・ジュレクは菜食主義です。彼は。間違いなく菜食のおかげで勝利したと確信しています。果たして、野菜から十分なエネルギーを摂取できるのか。

元アメフトチームドクターのジェイムズ・ルーミスは、選手たちはタンパク質に偏った食事を取っていたと語ります。タンパク質がエネルギー源だと彼らは信じていました。実際、運動エネルギー源は糖質で、筋肉にも貯蔵されます。糖質を制限してタンパク質に偏る食事をすると結果として、体内は慢性的な糖質不足に陥ります。それは、慢性疲労やスタミナ不足の原因となります。筋肉を動かすのは植物由来の糖質の方だという研究結果が出ています。

全米チャンピオンを8回達成した自転車のトラックレーサーのドッチィ・バウシュは、肉料理が有名なケンタッキー出身です。幼い頃から肉料理に慣れ親しんでいたので、完全菜食に移行していくことには不安がありました。しかし、菜食生活を始めると、体に劇的な変化が起こりました。レッグプレスのおもりを136キロから265キロにし、60回を5セット繰り返すことができました。

菜食アスリートは痩せているのではないか、と疑問に持つ人たちはたくさんいます。重量上げの2度のオリンピック米国代表選手のケンドリック・ファリス選手は、菜食に変えてから調子が良くなったと言います。

数々の世界記録の保持者で地上最強の男と言われているパトリック・バブーミアンも菜食主義です。肉を止めてからの方が体重も増加し、頑強になったと言います。

ディアスとマクレガーの試合に場面が戻ると、菜食主義のディアスが、肉食のマクレガーに勝利します。肉食のマクレガーが勝利すると多くの人々が思っていたので、この結果に衝撃が走ります。

ロバート・ボーゲル医師が、食事と血管内皮機能には相関関係があるのかを実証する実験をします。被験者はフットボール選手マイケル・トーマス、グリフ・ウェーレン、ケニー・スティルスの3名。2人には動物性たんぱくと脂肪のソースのブリトーを、残りの1人には豆が入った植物性由来のタンパク質と脂肪が含まれたブリトーを食べてもらいます。2日目は、植物性たんぱく質が含まれているブリトーを全員が食べます。食後に血液を採取し、その血液を分離させ、上部に分離された透明度をチェックします。肉のブリトーを食べた血液は濁っていて、菜食用のブリトーを食べた後は全員透明度が高いという結果になりました。食べたものが、食後6~7時間血液に影響を及ぼします。血液が濁っていると、運動能力は十分に発揮できず、血流が悪くなります。

米国ボブスレー連盟医師のスコット・ストールは、人間にとってタンパク質は重要な栄養素だがその由来が大切だと話します。食べているタンパク質が植物由来なのか、動物由来か。動物性たんぱく質は炎症を引き起こす可能性があります。炎症は動脈の血流を悪化させ筋肉や関節の痛みを増加させます。一方、植物性たんぱく質は炎症を抑え、腸内環境を整え、血液供給や身体能力をも高めてくれる効果があります。野菜や果物の植物性食品は抗酸化物質の宝庫。その含有量は平均値で動物性食品の64倍。菜食に変えるだけで、3週間の炎症の数値が29%も減少します。

デリック・モーガンもジェイムズと同様に、怪我をきっかけに論文を読み漁り、菜食が怪我の回復に効果的だと知ります。早速実践すると、怪我は早く回復し、痛みも治まりむくみも減りました。血液検査をすると、菜食生活を始めて半年で、全ての数値が改善をしました。正しい食事は自然治癒力を上げてくれることがデリックによって証明されます。

ジェイムズが菜食を始めて6週間で、体の変化をチェックするため、バトルロープにチャレンジします。以前調子がいいときで8分続き、10分続けばいい方。20分続く人は少数です。ジェイムズは楽勝で10分を超え、1時間も続きました。

ジェイムズは新たな心配事が発生します。彼の父親の心臓が悪いと診断され、命の危機に面します。

動物性たんぱく質にはヘム鉄が含まれており、心臓病も引き起こす働きもすると言われています。毎日1mgのヘム鉄摂取で冠動脈心疾患のリスクが27%高まるとの報告がある中、ハンバーガーには2~3mg含まれています。菜食主義者は心臓病のリスクが55%も低いことが分かっています。菜食に変えて1ヶ月で心臓の機能が正常になり、血流も改善。1年後には冠動脈のつまりが減少し、5年後にはさらに改善するという研究結果でています。

作家リップ・エセルスティン医師の息子は元消防士ということをきっかけに、現役の消防士たちに向けて啓蒙プロジェクトを始めます。消防士の職務中の一番の死因は何か。それは心臓発作です。職務中に死亡した隊員の67%が心臓発作で亡くなっていることが分かっています。リップはこの現状を変えたいと願っています。

アーノルド・シュワルツェネッガーもかつては動物性たんぱく質を大量に摂取しており、1日の摂取量は250g。しかし、たんぱく質は動物性じゃなくてもいいと知り、菜食に切り替えていきました。すると、コレステロール値は109まで下がり、こんなに下がったのは初めてだとアーノルドは話します。

動物性の高たんぱく質を摂取する人は早死にする確率が75%も高く、ガンや糖尿病での死亡率は4~5倍も高くなります。乳製品由来のたんぱく質を過剰に摂取すると、前立腺がんになる確率が40%も増加します。菜食家が週に一度、白肉や魚を食べると結腸癌のリスクが3倍以上になるという研究結果もでています。

古代の人骨を調査すると、人類の祖先はほぼ菜食主義だったということが発覚。遺伝的にも身体構造的にも人間は肉食に適しておらず、植物の消化吸収に適応していると考えられています。人類の歯を見ても一目瞭然。歯はギザギザしおらず、平たい形。菜食向けと思われます。

B12は動物性食品にしか含まれてないと言うものもいます。その成分は、土や水の中にいるバクテリアが作っています。昨今の殺虫剤などで、野菜からその成分が失われています。しかし、全体の39%の人がB12不足であり、肉食か菜食かは関係ありませんでした。

かつては肉=男という市場戦略が図られていました。しかし、科学的に立証されたのは、肉を食べれば食べるほど男らしさを失うということです。

食事で勃起にどのような影響が出るかという実験が行われます。1日目の夕飯は中身が肉のブリトーを。2日目は大豆ミートを使用したブリトーを。すると、菜食のブリトーを食べた方が勃起時のペニスの円周が大きく、肉のブリトー時に比べて、勃起の持続力が増加しました。

採食プロボディビルダー、ニーマル・デルガドは肉を食べたことはありませんが、体は十分に多きく、特に門問題は感じてないと言います。大豆はエストロゲンを増やすため、筋肉を育てるには十分です。同じく採食ボディビルダーのミーシャ・ヤニエツは、ヴィーガンは糖質を取りすぎてしまうから、引き締まった体つくりは無理だと言われ続けてきました。たしかに、生成された糖質は体重を増やしてしまいますが、さつまいもなどの自然な糖質は体脂肪の減少と関係しています。ボディビルダー界では低糖質が常識でしたが、その考えが覆されることになります。

ジェイムズが菜食生活を始めてから半年。怪我の回復も順調で調子もいいです。父も巻き込み、家族全員で菜食生活を始めると、父親は快方へと向かっていきました。

かつては喫煙が体にいいと、広告塔はスポーツ選手にしてうたっていました。タバコはガンの原因になると発覚し、今度は肉を起用するようになりました。肉関連の広告は再びスポーツ選手。たばこと同じ戦略をとり、同じことが繰り替えされています。

現在、世界の農地の80%以上が家畜です。それによって自然破壊と、飼料を得るために多くの水を使用し、水不足の原因になっています。ハンバーガー1個に使用される水は2400リットルと言われており、野菜中心の食生活に変えるだけで、多くの資源や水を節約できます。

リップの啓蒙プロジェクトは成功し、野菜中心の食生活に変えた消防士たちの健康結果は良好。コレステロール値が大きく下がった者や、体重が一週間で5キロ減った者もおり、野菜の大切さを参加者は実感します。

いきなり肉を断つことは難しいですが、一週間に1回など無理のない範囲で始めようと声をかけ、このドキュメンタリー映画の幕は閉じます。

以上、映画「ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実」のあらすじと結末でした。

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