映画「シャニダールの花」ネタバレあらすじ結末と感想

シャニダールの花の紹介:2012年日本映画。斬新な映像美で世界的に高く評価されている石井岳龍監督が描くファンタジー映画。限られた女性の胸に咲く謎の花シャニダールに翻弄され、運命を狂わされていく男女の切ないラブストーリーが幻想的な映像で描かれていきます。
監督:石井岳龍 出演者:綾野剛(大瀧賢治)、黒木華(美月響子)、刈谷友衣子(立花ハルカ)、山下リオ(菊島キク)、古舘寛治(吉崎和彦)、伊藤歩(田村ユリエ)、ほか

映画「シャニダールの花」解説

この解説記事には映画「シャニダールの花」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

製薬会社のとある研究所を見学に来た美月響子(黒木華)は、植物学者の大瀧賢治(綾野剛)に所内を案内してもらうことになりました。

この研究所では、提供者と呼ばれる女性たちが共同生活を送っています。研究所は胸にシャニダールという花が咲く特質を持つ女性たちに高額な契約金を支払い、花弁から採取できる成分を使って新薬の開発を行っているのでした。

賢治は響子に、研究所の仕事に就くことをよく考えたほうがいい、とアドバイスしますが、信念を持つ響子はほどなくしてセラピストとして働き出します。

新しく入所してきた立花ハルカ(刈谷友衣子)は情緒不安定な少女であり、響子は彼女の対応に人一倍気を遣います。

提供者の田村ユリエ(伊藤歩)は賢治に好意を寄せていますが、賢治と響子の仲睦まじい姿を見ると、嫉妬で心がかき乱されるのでした。

響子は花の成長が難しいと判断された提供者の菊島キク(山下リオ)に研究を中断することを宣告します。自分がもう必要とされていないことを知ったキクは深い失意に陥っていきます。

一方ハルカの胸には花が咲きますが、大切に育てた花を切って金銭に変えることが本当に正しいのかと響子に問うのでした。

花について知らないことが多すぎると感じた響子は、花の謎を解明しよう苦悩し始めます。賢治はそんな彼女を愛しく思い、やがて二人は恋に落ちていくのでした。響子は自分の胸に花が咲く兆候があることを感じはじめます。

一方ユリエは賢治への思いを絶つため、花の切断手術を受けて退所することを決断します。しかし身体から花を切断した途端ユリエの容体は急変し、彼女は息を引き取ってしまうのでした。

退所をせまられているキクは、寝ている提供者の胸の花を容赦なくむしり取り始めます。暴走するキクを食い止めるため、ハルカは己の胸に咲く花を惜しげもなく彼女に差し出します。

しかし花を捧げたことでハルカは発作を起こし、その様子を見ていた響子も意識を失ってしまうのでした。意識を取り戻した響子は自分の胸に芽吹きはじめている花の芽を賢治に見せます。

やがて花の手術がユリエの死と深く関係があることを疑い始めた賢治は、所長に研究の危険性を警鐘します。しかし研究には犠牲が必要であることを主張する所長は、彼の考えを受け入れようとはしないのでした。

響子は研究所を出て、二人で一緒にシャニダールの花を育ててみたいと賢治に相談します。賢治は学者としての立場から花の生育にはリスクしかないことを訴えますが、響子は花が咲くことには何か深い意味があるはずだと信じているのでした。

賢治は響子を深く愛するあまり、彼女が寝ている間に胸の芽を摘み取ってしまいます。絶望した響子は賢治に別れを告げ、研究所を退所すると行方不明になってしまいます。

その後シャニダールが閉鎖されると、賢治は植物園で働き出します。ある日、賢治のもとに花の種だけが入った封筒が送られてきます。やがて種からはシャニダールの芽が出始め、賢治は封筒の差出人が響子であることに気づくのでした。

ハルカの元を訪ねた賢治は、響子があれから再び花を咲かせることに成功したと知らされます。しかしようやく再会できた響子は深く眠り続けたままなのでした。

響子を救う手だてはないかと賢治は所長の元を訪ねます。所長からシャニダールが人類を滅ぼしかねない悪魔の花だと聞かされた賢治は、至るところに咲きはじめた花を摘み取ってまわります。しかし次第にシャニダールが果たして悪魔の花なのか、天使の花なのかさえ判断がつかなくなっていくのでした。

気がつけば賢治は響子に導かれ、砂漠を歩いています。そこには見渡す限り一面にシャニダールの花が鮮やかに咲き誇っているのでした。

以上、映画「シャニダールの花」のあらすじと結末でした。

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