映画「マゴニア」ネタバレあらすじ結末と感想

マゴニアの紹介:2001年オランダ映画。マゴニアを舞台に、とある少年が父から聞かされる物語は、船乗りの縄結びのように自在に場所や人物が変化する。三つの物語と、少年と父の語らい。アルチュール・ジャピンが1996年に発表した短篇小説「マゴニア・ストーリーズ」を脚色して映画化。
監督:イネケ・スミツ 出演:ウィレム・フォーフト(息子)、ディルク・ローフトホーフト(父親)、ラムゼイ・ナスル(青年メメド)、ナト・ムルバニゼ(老師に仕える女イルクヌール)、ノダル・ムガロブリシヴィリ(老師アブドゥル・アブドラン)、アミラン・アミラナシヴィリ(公衆浴場の旦那/ハダス)、リンダ・ファン・ダイク(外交官の妻ゾエ)、テオフィル・ソウイエ(老人の息子アキム)、アダマ・クヤテ(老人)、ピーター・ボルフェイス(外交官サム)、アンチュ・ドゥ・ブック(ヨセ)、ヒールト・フーナーツ(若き設計士アレント)、フィリップ・ファン・デ・ブーガールト(オレ)、ヤック・ワウテルセ(酒場の店主)、ほか

映画「マゴニア」解説

この解説記事には映画「マゴニア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

 少年は先週戻った父の元を訪ね、海辺で凧を飛ばしながら、父の語る話を聞いていた。彼の父の語る話はいつも違う話だったけれど、同じロープでも薄日方は無限にあると言うのが父親のモットーだった。

 とあるイスラム圏の街に住むメメドは、老師アブドルが礼拝所の塔から歌を歌うために毎日負ぶって上えまで行き、そこから老師の世話をしているイルクヌールに折り紙の飛行機を飛ばすのを習慣にし、彼女はそれを受け取っては籠の中に集めていた。
 アブドルを信仰心の薄らいでいる街ではこの歌が不信仰を叱っているようだと不評だった。
 メメドは衰えた老師アブドルノために拡声器を作ってその声を流そうとしたものの、街は返って大混乱で誰もその声を聞かなくなってしまった。メメドはイルクヌールに、歌うのをやめるべきではと相談すると、生きがいを奪っては死んでしまうと、彼女はそれを突っぱねた。
 しかし、メメドは老師の代わりに礼拝を告げる歌を歌った。すると、その声に街の人々が礼拝所に集まるようになった。けれど、それからという物、イルクヌールはメメドが塔から飛ばす飛行機を受け取らないようになってしまった。
 アブドルは礼拝所でコーランの第一章詠い、そして亡くなった。老師を看取ったイルクヌールは、礼拝を告げる歌が聞こえてくると、メメドから届いた紙飛行機を籠から空にすべて放った。メメドは自分の歌を録音した機械を残し、街から旅に出た。
 語り終えた父は息子に船の形の凧の設計図を渡した。
 父会っている時、時々姿を隠してしまう。そばにいてと言い募ると、考えの行き着くまでそばにいると父は息子に約束した。

 ゾイと外交官の夫サムは、砂漠の真ん中で車がエンストし、立ち往生してしまった。
 その近くに暮らす親子は、朝になると、父親が砂山の意思の中にとっておいた炭を家に持ち帰り、息子はそれを使って火を起こし生活していた。
 そこへ立ち往生していた夫婦が助けを求めてやって来た。パック旅行にすればよかったと言う夫と、不自由を楽しむ妻、息子は夫と車を直しに行った。
ゾイはエンストで困っているから助けてと息子に頼む。
 ゾイはその畑仕事をしている父親に話しかけ、夫との馴れ初めなどを話したが、通じないと思っていたその父親は、希望は最後に消える物とだけゾイに語った。
 車が直ったと車で帰って来た夫と車で眠った。夜中、ゾイが家の壁沿いで煙草を吸っていると、息子が出てきて隣に座り、歌った。
 翌朝、挨拶がわりにライターを置いて夫婦が去ろうとすると、息子が追いかけてきたので、夫婦は車に彼を乗せた。
 ライターがあっても、父親が炭を使う習慣は変わらなかった。そこへ砂漠に雨が降り出した。
 少年はまた来週という父と別れ、船に乗るふりをして、父のいる施設のある島に残り、父の部屋を覗き見ると、父や船の形の凧を作っていた。

 ヨセは七年も戻らないビル・ラムジーが忘れられず、彼が港にやってくるのを待っていた。彼女に想いを寄せる船の設計師のアレントは、酒場の主人から初めての男のビル・ラムジーに勝ち目はないと言われつつも、防波堤で待つヨセに船乗りは大変だと言う愚痴を聞いた。ヨセは酒場の主人に夜の関係を強いられても、窓から雲を見ていた。翌朝、ベッドでぼんやりしていると、アレントは船の設計図彼女に渡した。彼は防波堤で彼女に守りたいと言うが守れるわけがないと設計図を海へ飛ばされてしまった。そのうち雨が降り出し、教会で雨宿りをしていると、ヨセは、今度こそ戻ってくる、彼は夢を描くだけでなく実現させる人だと言った。
 酒場へ見知らぬ男がやって来た。七年も訪れておらず誰も覚えていないだろうと言う彼はビル・ラムジーだった。彼は地図にはない真実の場所マゴニアから来たと言う。ヨセが覚えて待っていたことを喜んだ彼は、酒場の店主にお金を払って彼女の部屋に上げてもらい、一夜を共にした。事の最中もヨセは窓の外を見ていた。
 翌朝アレントはいなくなっていた。ヨセはオレと教会で錨のネックレスを探し、アレントが船を作って迎えに来てくれるのだと言った。彼女はもうラムジーを追わなかった。
 少年は父に遭おうとしても施設に姿はなく、机だけがあった。その頃父は船の形の凧を飛ばしている最中に転び、引きずられ、ボートに頭をぶつけてなくなっていた。
 少年は木に引っかかったマゴニアと書かれた船の形の凧を見つけ、空に放った。

以上、映画マゴニアのあらすじと結末でした。

 父が少年に語った物語は、自分のいる施設にいる人物たちをモデルに語られたもの、施設は精神病棟のようなものだと最後に明かされる。隔離されたその場所で父親にとっての救いは空想する事だったのだろうか。最後に空へ放たれた凧は父への手向けにも、永遠の航海に旅立った父の寓意にも見える。

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