映画「山」ネタバレあらすじ結末と感想

山の紹介:1955年アメリカ映画。老いた兄と強欲な弟がアルプスの雪山に挑むアドベンチャー&ドラマ。アルプスの麓に暮らす老年の羊飼いのザカリーは、元は優秀な山岳ガイドだった。しかし3度も事故に遭ったことで引退し、現在は弟クリスと共に細々と暮らしている。ザカリーは親子ほども年の離れたクリスを我が子のように可愛がっていた。そんなある日、インドの旅客機が雪山に墜落する。クリスは旅客機の積み荷を盗むため、山に登ろうとザカリーに持ちかけた。ザカリーは反対するがクリスは意志を曲げず、仕方なく兄弟は冬のアルプスに挑むことになる。
監督:エドワード・ドミトリク 出演:スペンサー・トレイシー(ザカリー・テラー)、ロバート・ワグナー(クリス・テラー)、アンナ・カシュフィ(ヒンドゥー教徒の少女)、クレア・トレヴァー(マリー)、ウィリアム・デマレスト(べラッキ神父)ほか

映画「山」解説

この解説記事には映画「山」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

1950年代のスイス。アルプスの麓で羊飼いとして暮らすザカリー・テラーは、親子ほども年の離れた弟クリスと共に細々と生活していました。そんなある日、インドの旅客機が雪山の頂上付近に墜落します。上空からの写真を判断するに、生存者はゼロ。しかし旅客機には重要な書類が積まれていたため、救助隊が編成されることになります。

救助隊を先導するのは、ザカリーの友人サーボスでした。彼はザカリーこそ先導に相応しいと救助隊に加わるよう言いますが、もう10年も山に登っていないザカリーはその頼みを断りました。ザカリーは元は優秀な山岳ガイドでしたが、山で3度も事故に遭ったことから山に見限られたと思い込み、ガイドを引退したのです。

ザカリーはクリスを救助隊に入れるよう頼みましたが、サーボスは首を縦に振りませんでした。季節は既に冬を迎えようとしており、この時期の登頂は大変危険です。ザカリーは氷や雪に覆われた北回りのルートより、険しい南回りのルートを推奨しました。しかし救助隊は結局北回りのルートを選びます。

貧しい生活に苛立つクリスは、スキー場建設を計画しているホテルに家を売ろうと言い出しました。しかしザカリーは先祖代々の家を手放すなど言語道断だと反対します。それから少しして、サーボスが山で死亡したと知らせが入りました。結局捜索は春まで持ち越されることになり、ザカリーはサーボスを悼みながら山を見上げます。

ザカリーがサーボスの入棺の手伝いを済ませて帰宅すると、クリスが事故機の写真を見せてきました。そして自分達兄弟なら、南回りのルートで事故現場に行けるはずだと言い出します。事故機はイギリスに運ぶ金を積んでいたという噂が流れていました。

更にクリスは、乗客の遺品を盗んで金にしようと考えていたのです。ザカリーはあまりにも人の道を外れた提案に絶句し、育て方を間違えたと嘆きました。そして自分は絶対に登らないと言います。しかしクリスも頑固で、1人でも登ると言い出しました。未熟なクリスに単独登頂など出来るはずもありません。

ザカリーは仕方なく、事故現場までの先導を引き受けました。明朝、2人は山を目指して出発。道は険しく、手がかりの無い断崖絶壁を慎重に登っていきます。泣き言ばかりのクリスを叱りつけながら登るザカリーの目は、いつしか興奮で輝いていました。

やっとの思いでたどり着いた事故現場は、凄惨を極めていました。バラバラになった機体に、いくつも転がる乗客の遺体。喜び勇んで遺体の懐を漁るクリスの姿に、ザカリーは目を覆いました。すると機内で驚くべき発見をします。生存者がいたのです。

見たところ、ヒンドゥー教徒の少女のようでした。ザカリーは慌てて少女を介抱し、彼女を連れて明朝下山すると決めます。機内で一晩中少女を励ますザカリーの姿を、クリスは忌々しそうに見ていました。翌朝、ザカリーは即席のソリを作り、毛布でくるんだ少女を寝かせます。

すると突然クリスがザカリーを突き飛ばし、少女を絞殺しようとしました。自分の悪行がばれることを恐れ、口封じしようと思ったのです。ザカリーは急いでクリスを少女から引き剥がし、腕を捻り上げて殴り倒しました。ザカリーは暗い気持ちを抱きながら、それでも少女を助けるためソリを滑らせながら下山を開始します。

クリスは置き去りにされる恐怖で跳ね起き、急いで準備を整えました。しかし雪で覆われた斜面を着実に滑っていくザカリーの足は早く、なかなか追いつけません。

疲労困憊の中、ザカリーは必死に少女を庇いながら下山を続けていました。大きなクレバスに掛かる雪橋に到達したザカリーは、安全なものを慎重に選んで渡ります。それでもギリギリ渡りきったところで雪橋は崩れてしまいました。

そこにクリスがやって来ます。置き去りにされる恐怖にパニックになったクリスは、ザカリーの忠告も聞かず危険な雪橋を強引に渡ろうとしました。数歩踏み出したところで雪橋は崩れてしまい、ザカリーの目の前でクリスはクレバスに落ちます。

ザカリーは深く嘆きながら無事下山。村までの道すがら、少女にクリスとの思い出を語って聞かせました。

生存者が救助されたことで、村は大騒ぎになりました。少女は無事町に搬送されます。傷の手当てを受けたザカリーは、知人女性マリーや神父に囲まれながら記者の質問を受けました。

説明を求められたザカリーは、山へ行ったのは自分が事故機を漁りたかったからだと言います。クリスは自分を止めようとしたが、無理やり連れて行ったのだと。そしてクリスが生存者を発見し、彼女を助けようとしたのだと。自分は救助に反対したがクリスは折れず、そしてクレバスに落ちて死んだのだと。

少女を助けたのは自分ではなくクリスだと叫ぶザカリー。しかしその場にいた者は皆、彼の嘘に気付いていました。彼らはザカリーの悲しい嘘に項垂れ、記者はメモを破り捨てます。

ザカリーはマリーと一緒に帰路に就きました。ザカリーが無言で山を振り返り、この映画は終わりを迎えます。

以上、映画「山」のあらすじと結末でした。

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