パリタクシーの紹介：2022年フランス映画。日々ギリギリの暮らしをしてイライラしながら過ごしているタクシードライバーのシャルルが、配車の依頼をされて出会った92歳のマドレーヌ。彼女の過去を知り、人柄を知ることで、心を開いて過ごす施設までの道中を描いた話です。
監督：クリスチャン・カリオン 出演：リーヌ・ルノー（マドレーヌ）、ダニー・ブーン（シャルル）、アリス・イザーズ、ジェレミー・ラウールト、グウェンドリーヌ・アモン、ジュリー・デラルム、ほか
映画「パリタクシー」解説
この解説記事には映画「パリタクシー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
金に困り免停までの点数もあとわずか、日々ギリギリの暮らしでイライラしているタクシードライバーのシャルル（ダニー・ブーン）。無線局から連絡が入り、ブツブツ言いながらも依頼先に向かいます。依頼主は92歳の大邸宅に住むマドレーヌ（リーヌ・ルノー）でした。一人暮らしの家を出て介護施設に向かうようです。
あれこれ話すマドレーヌに無愛想なシャルル。マドレーヌの指示で、彼女が生まれたヴァンセンヌの街に向かわされます。嫌そうに答えるシャルルでしたが、マドレーヌに諭されて仕方なく街へと向かいます。
変わり果てたヴァンセンヌの街に驚くマドレーヌは、やがて自分の話をし始めました。
16歳の時にマットというアメリカ人の軍人と恋に落ちたマドレーヌ、マットはやがて帰国しますが、その後マドレーヌが彼の子供を宿していることが分かります。愛息マチューが生まれ、その後もマットを懸命に探したマドレーヌでしたが、マットは帰国後に別の女性と結婚して子供が生まれていたことを知ります。
初めはぶっきらぼうに彼女の質問に答えていたシャルルでしたが、やがて自分の話までし始め、笑顔を浮かべるほど打ち解けていきました。
パルマンティエ通り辺りでマドレーヌは母の話を始めました。
この辺りで仕事をしていた母にマチューを預けて、レイという男性と付き合い始め、やがて結婚したマドレーヌ。しかし、レイはマチューを自分の子供と扱わず、自分の子供が欲しいとマドレーヌに望みます。マドレーヌがそれを断ると、暴力を振るい始めました。
堪らなくなったマドレーヌはある日、マチューを母に預けてレイと食事に行きます。そして睡眠薬入りの酒を飲ませて眠らせた後、彼の下半身をバーナーで焼いてしまったのです。レイは死ぬことはありませんが、マドレーヌは裁判にかけられることになりました。
一通り自分の話をした後、マドレーヌはシャルルの話を聞きたがりました。シャルルは妻カリーヌとの馴れ初めを話し出します。とてもロマンティックな話に、マドレーヌも嬉しそうに笑います。
マドレーヌが裁判を受けた裁判所を見ながら、その後の話をマドレーヌは話し出しました。
被告人となったマドレーヌ、外ではマドレーヌの自由を訴える女性たちがいましたが、マドレーヌに禁固25年の刑が言い渡されました。控訴するのも難しいようです。
話をしていたのでシャルルはうっかり赤信号を見落としてしまいます。運悪く警察官に見つかってしまいました。まずい…と真っ青になるシャルル、するとマドレーヌが上手く嘘を付き警察官を宥めると、注意だけですぐ放免となったのです。上手く騙せたことに二人は笑いあいます。
話はその後に戻ります。マドレーヌは刑期を模範囚として過ごしました。そのおかげか半分の刑期で退所となり、家に戻ったマドレーヌでしたが、マチューが大学に行き報道カメラマンとなり、サイゴン近くで銃撃に遭い、死亡したことを知ります。
死のうとも考えたが、死ぬことが出来ずに今まで生きているとマドレーヌは話します。介護施設から到着が遅いと連絡がありましたが、夕食を済ませて帰ると連絡をし、マドレーヌとシャルルは素敵なディナーを楽しみ、ようやく施設へと到着しました。シャルルは、また会いに来るからとマドレーヌの支払いを断り、帰っていきます。
後日、シャルルはカリーヌを連れてマドレーヌのいる施設に行くと、マドレーヌが亡くなってしまったことを知ります。その後、墓参りに行くと、そこで出会った公証人にマドレーヌから預かった手紙を受け取ります。
手紙には、本当に素敵な時間を過ごせたことに対するシャルルへのお礼が書かれていました。そして家を売って余ったからと、101万ユーロの小切手が入っていたのです。
以上、映画「パリタクシー」のあらすじと結末でした。