映画「偽牧師」ネタバレあらすじ結末と感想

偽牧師の紹介:1923年アメリカ映画。牧師に間違えられた脱獄囚が、小さな町で巻き起こす騒動を描いたコメディ作品。脱獄囚が牧師の修道服を盗んで駅に向かった。周囲の目に怯えながら乗った汽車で保安官を見つけた彼は、慌てふためいて小さな町に降り立つ。その町は折しも新しい牧師を待ち受けていたところで、脱獄囚は牧師と勘違いされ迎え入れられてしまった。どうにか誤魔化しながら牧師を演じていた脱獄囚だったが、かつての刑務所仲間ハワードに偶然見つかってしまう。監督・脚本・主演を務めるのは、喜劇王チャールズ・チャップリン。
監督:チャールズ・チャップリン 出演:チャールズ・チャップリン(脱獄囚)、エドナ・パーヴィアンス(ブラウン嬢)、キティ・ブラッドバーン(ブラウン夫人)、マック・スウェイン(教会執事)、シドニー・チャップリン(駆け落ちする男/列車の車掌/悪がきの父)ほか

映画「偽牧師」解説

この解説記事には映画「偽牧師」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

舞台は禁酒法以前の古き良きアメリカ。1人の男が刑務所から脱獄したため、賞金1,000ドルの手配書が出回っていました。脱獄囚は囚人服から着替えるため、水浴びをしていた牧師の修道服を拝借します。脱獄囚は挙動不審に駅のホームを歩き回り、駆け落ちするカップルに追いかけ回されました。

適当に行き先を決めた脱獄囚は汽車の旅を始めます。ところがその途中、隣に座っていた男性が広げる新聞を見て仰天しました。脱獄囚の顔写真が大きく載っていたのです。更によく見ると、その男性は保安官でした。

慌てふためいた脱獄囚は、ちょうど停車していた小さな町に降り立ちます。その町の住人達は、新たに赴任して来るフィリップ・ピム牧師を出迎えるため駅で待機していました。住人達は降りて来た脱獄囚をピム牧師だと勘違いし、熱烈に歓迎します。

人違いとも言い出せず、案内されるまま教会へ向かった脱獄囚。途中でピム牧師から教会執事に、到着が一週間遅れるという内容の電報が届きました。脱獄囚はどうにかその場を誤魔化します。

教会に到着した脱獄囚は礼拝の場に立たされますが、当然進め方など分かりません。コーラス隊が陪審員に見えてしまったり、聖書に宣誓してしまったりと悲しい犯罪者の性を出してしまいます。

目を白黒させた教会執事に促され、脱獄囚は説教を始めました。彼はダビデとゴリアテの話を、身振り手振りを加えて語り、面白おかしく住人達に聞かせます。しかし笑ってくれたのは子どもだけで、大人達は眉を顰めて聞いていました。

脱獄囚はブラウン家が営む宿屋に泊まることになりました。宿屋へ行く途中、脱獄囚は思わぬ人物と再会します。それはかつての刑務所仲間で、「スリのピート」の異名を持つハワード・ハンチントンでした。ハワードを見つけた脱獄囚は、身分が露見するのを恐れて慌てて歩き去ります。

やっと宿屋に腰を落ち着けると、騒がしい親子の来客がやって来ました。まだ幼い子どもは脱獄囚と父親を叩いたり、水槽の水を撒いたりして悪戯を繰り広げますが、母親はおしゃべりに夢中で気付きません。お茶の時間になって、教会執事達がやって来ました。

騒がしい親子は帰ろうとしますが、父親の帽子がありません。帽子は子どもの悪戯と脱獄囚の不注意が重なった結果、料理としてテーブルに出されていました。酷い有様になった帽子を摘まみ上げ、一家は憤慨して帰って行きます。

夕方になり、宿屋をハワードが訪ねて来ました。彼は脱獄囚の古い友人だと嘘を吐き、宿屋に上がり込みます。ハワードが教会執事の財布を盗み、脱獄囚がその財布を奪い返して教会執事に返し、ハワードがまた盗んで脱獄囚がまた奪い返しての攻防戦が繰り広げられました。

悔しがるハワードですが、偶然抽斗に大金が入っているのを目撃します。隙を突いて金を盗もうとするハワード。脱獄囚は必死に金を守ろうとしますが、酷く殴られて気絶してしまいました。その間に、ハワードは金を盗んで酒場に向かいます。

その後ブラウン嬢に助け起こされた脱獄囚は、金は必ず取り返すと約束し酒場へ急ぎました。ブラウン嬢は母と保安官に金が盗まれたことを伝えます。彼女は脱獄囚の約束を信じていましたが、保安官はその考えを否定しました。町にも脱獄囚の手配書が出回り、身分がばれてしまったのです。

ハワードが上機嫌で酒場にいると、そこへ強盗が押し入りました。銃で脅されたハワードは、後ろ向きに両手を上げて立っています。外から状況を把握した脱獄囚は、どさくさに紛れてハワードから金を奪い返しました。

翌朝。脱獄囚は約束通り、ブラウン嬢に盗まれた金を全額返します。そこに保安官が現れ、脱獄囚は刑務所に戻されることになりました。脱獄囚が約束を守ったことを見ていた保安官は、彼をアメリカとメキシコの国境へ連れて行きます。そしてメキシコ側の花を摘んで来るよう言いました。保安官は、脱獄囚をメキシコへ逃してやろうとしているのです。

しかし察しの悪い脱獄囚は、きっちり花を摘んでアメリカ側へ戻って来ました。呆れた保安官は脱獄囚をメキシコ側に蹴り飛ばします。ようやく保安官の真意に気付いた脱獄囚は、去っていく彼に笑顔で手を振りました。

メキシコへ足を踏み入れ、新たな人生と平和を噛み締める脱獄囚。すると突然草むらから男達が現れ、銃撃戦を繰り広げます。全く平和ではないメキシコから逃げたいものの、アメリカではお尋ね者の脱獄囚。結局どちらに行くことも出来ず、国境線の上を歩いて行きます。どっちつかずの背中が遠ざかり、この映画は終わりを迎えます。

以上、映画「偽牧師」のあらすじと結末でした。

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