映画「アシク・ケリブ」ネタバレあらすじ結末と感想

アシク・ケリブの紹介:1988年ソ連映画。主人公のアシク・ケリブは貧しい吟遊詩人。愛するマグリに1000の昼と夜の後に戻ると約束して旅に出る。トルコの伝説をロシア人のミハイル・レールモントフが翻案した物語を原作としてアルメニア人のパラジャーノフ監督が作ったこのエキゾチックな冒険映画では、アゼルバイジャン語の詩、グルジア語のナレーション、そしてヨーロッパのクラシック音楽のメロディーも聞かれる。投獄期間を含めた長い沈黙の後に作られた『スラム砦の伝説』に続くこの作品は同じソ連の映画監督、故アンドレイ・タルコフスキーに捧げられたが、パラジャーノフの遺作になってしまった。共同監督のダヴィッド・アバシーゼは、パラジャーノフの幼な友達の俳優。
監督:セルゲイ・パラジャーノ フ、ダヴィッド・アバシーゼ 出演者:ユーリー・ムゴヤン(アシク・ケリブ)、ヴェロニカ・メトニーゼ(マグリ・メヘル)、ソフィコ・チアウエリ(アシクの母)、ほか

映画「アシク・ケリブ」解説

この解説記事には映画「アシク・ケリブ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

収穫祭。アシク・ケリブとマグリの頭上に米がまかれる。二人は愛を確認する。母と妹をともなってアシクはマグリの父である領主に結婚の許可を得に行く。だが、才能豊かな吟遊詩人とはいえ、アシクは貧乏人。領主にけんもほろろに追い返される。でも若い二人はあきらめない、アシクはマグリに、金を作って1000日後に帰ることを誓って旅に出る。
 旅立つアシクに馬に乗ってしつこくついてくる男がいる。旅の方角が同じだからいっしょに旅をしようと。男は実は親の決めたマグリのいいなずけだった。川を渡るためにアシクが服を脱ぐと男はそれを奪ってアシクを馬鹿にして去っていった。男は人々に服を示してアシクが川に溺れて死んだと言いふらす。アシクの母はショックで目が見えなくなる。でもマグリはアシクが帰ることを信じ続ける。

渡る世間に鬼はなく、裸のアシクのために村人が服をくれる。そして川に流された弦楽器も見つかる。村でアシクは死を間近にした先輩の吟遊詩人に出会い、励ましていっしょに旅に出る。しかし、先輩詩人は旅の途中で死にアシクが埋葬する。吟遊詩人の二体の守護神がさらにアシクを導いていく。

アシクは様々な体験をする。盲人の結婚式で演奏したり、将軍に囚われの身になったり。戦争好きの王様につかまって演奏を強要されるが、身に着けさせられた鎧がじゃまでうまく演奏できない。鎧を脱ぐことを王は許さない。演奏できない罰でトラの前にアシクは出されるが、食われずに済んだ。兵士たちに暴力を振るわれるが、子供たちに助けられて荒れ果てた修道院へ逃れる。

そして1000日が経とうとしていた。アシクの前に白馬の騎士が現れる。未だ大金を得られぬアシクだが、愛するマグリには危機が迫っている。騎士はアシクを馬に乗せて、故郷へたちまち送り返し、アシクにお金を与える。マグリの家にアシクは行くが、最果てのハマダンの地から一日で帰ったという話を誰も信じない。マグリは明日結婚しなければならない。今晩アシクが帰らなかったら自害する準備をしていた。盲目のアシクの母が呼ばれる。アシクは白馬の蹄についていた土を使って、母の眼が見えるようになるという奇跡を行う。人々はアシクの言うことを信じ、晴れてマグリとアシクは結婚した。

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