映画「コーヒーが冷めないうちに」ネタバレあらすじ結末と感想

コーヒーが冷めないうちにの紹介:2018年日本映画。舞台演出家・脚本化の川口俊和の舞台作品ならびに小説「コーヒーが冷めないうちに」と「この嘘がばれないうちに」を映画化したファンタジー作品です。都市伝説で過去に戻れる席があるという喫茶店、来店した人々は次々とその席で不思議な出来事を体験することになります…。
監督:塚原あゆ子 出演者:有村架純(時田数)、伊藤健太郎(新谷亮介)、波瑠(清川二美子)、林遣都(賀田多五郎)、深水元基(時田流)、松本若菜(平井久美)、薬師丸ひろ子(高竹佳代)、吉田羊(平井八絵子)、松重豊(房木康徳)、石田ゆり子(謎の女)ほか

映画「コーヒーが冷めないうちに」解説

この解説記事には映画「コーヒーが冷めないうちに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

とある町のとある喫茶店「フニクリフニクラ」。ここは時田数(有村架純)が従兄で店主の時田流(深水元基)と切り盛りしているところでした。そして、ここのある座席にはいつからかまことしやかに「その席に座ると戻りたい過去の時間に戻ることができる」という都市伝説が流れており、その噂を聞きつけてやってくる客も少なからずいましたが、その席に座るためには以下のルールを守らねばなりませんでした。
1.過去に戻ってどんな事をしてきても現実は変わらない。
2.過去に戻ってもこの喫茶店を出ることはできない。
3.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでからそのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
4.過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
5.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会うことができない。
万が一コーヒーを冷めないうちに飲み干せなかった場合は“幽霊”となってしまい、この喫茶店から出られなくなってしまうということです。

夏のある日のこと。アラサーのキャリアウーマン、清川二美子(波留)は、1週間前にこの店で幼なじみの賀田多五郎(林遣都)と口論の末に破局したばかりでした。この日、二美子は五郎から仕事でアメリカに行くことを告げられ、つい「どこへでも行ってしまえば!」と言ってしまったことから喧嘩になってしまったのです。このことを後悔していた二美子はこの店の都市伝説を思い出し、早速その席に座ろうとしたのですが、この席はいつも謎の女(石田ゆり子)が占拠しており、彼女がトイレに行っている間しか座ることができません。ようやく僅かな隙を突いて席に座った二美子はためわらずコーヒーを注文、数の「コーヒーが冷めないうちに」という言葉を聞きながら本当に1週間前のあの時に戻りました。同じ過ちを繰り返したくない二美子はぐっと堪えて五郎に本心を伝え、コーヒーが冷める前に急いで飲み干して元の時間へと戻りました。そして二美子は五郎にメールを入れ、一緒にアメリカへ行くことを伝えました。

秋のある日。この店の常連である高竹佳代(薬師丸ひろ子)は若年性認知症を患っており、夫の房木康徳(松重豊)に関する記憶がありません。それでも康徳は毎日佳代を迎えにこの店を訪れ、自らも看護師の職を得て佳代の世話をしていましたが、どうしても妻の病気のことを受け入れられずにいました。そんなある日、たまたまあの席が空いていたことから康徳はコーヒーを注文、佳代の病状がまだ進行する前の頃へと戻りました。康徳は佳代から分厚い封筒を受け取り、中を開けてみると、そこには佳代がいずれ夫のことを忘れてしまう前にと書いた、康徳への愛と感謝のこもった手紙でした。康徳は手紙に書いてあった「患者と看護師ではなく夫婦でいたい」という言葉を胸に、妻の病気を受け入れたうえでこれからも支え続けていく決意を新たにしました。
冬のある日。平井八絵子(吉田羊)という女性がこの店を訪れました。八絵子は若い頃に旅館を営む両親と対立して家を飛び出し、以来この町でスナックを営んでいるのですが、妹の久美(松本若菜)が度々訪れては実家に戻るよう何度も説得していたのです。そんなある日、久美はまさかの交通事故で他界してしまい、今まで久美のことを避け続けてきた八絵子はこれまでのことを深く後悔しているのです。早速コーヒーを注文した八絵子は最後に久美と会った日に戻り、久美から「私はお姉ちゃんとふたりで旅館を経営するのが夢だったの」と打ち明けられて涙をこぼしました。八絵子は久美にあの事故の日には絶対に外に出るなと忠告、時間ギリギリにコーヒーを飲み干して現在に戻ると、実家に帰って旅館を継ぐ決心をしました。

この喫茶店の近くに住む大学生の新谷亮介(伊藤健太郎)は、かねてからこの店で起こる不思議な出来事、そして数のことが気になっていました。やがて亮介は、この店でコーヒーを淹れるのは時田家の女が代々受け継いてきたものであり、謎の女の正体が数の母・要であること、そして要は亡き夫に会いに行くためにあの席でコーヒーを飲んだきり“幽霊”となってしまい、現世に戻って来れなくなってしまったことを知ります。実は要にコーヒーを淹れたのは数であり、彼女はずっとこのことを悔んでいるのです。やがて社会人となった亮介は数との結婚を決意、数のお腹には亮介との子が宿ったことから、亮介は数を助けるためある作戦を思いつきました。それは将来生まれてくる子も関わることでした。
ある夜、亮介は数に指定した日時に店に行くよう告げ、そこで数は見知らぬ女の子からコーヒーを淹れてもらって母が幽霊になる直前の時へとさかのぼりました。要はこの時重い病を患っており、数は幼い頃に戻って要に「ここにいて…行かないで…」とせがみました。要は自分の余命が尽きる前に未来に飛んで娘の成長した姿を一目見たいとコーヒーを飲み、そのまま時間切れを迎えて戻れなくなっていたのです。要は娘の成長をとても喜び、数はようやく前向きな気持ちになることができました。
やがて数は未来(みき)という名の女の子を出産、後に成長した未来が過去に飛んで数にコーヒーを飲ませることになるのです。

以上、映画「コーヒーが冷めないうちに」のあらすじと結末でした。

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