映画「アビゲイル クローズドワールド」ネタバレあらすじ結末と感想

アビゲイル クローズド・ワールドの紹介:2019年ロシア映画。謎の疫病が蔓延し、感染者はどこかへと隔離される世界を舞台に、感染者として連行された父を救うべく、主人公の女性が特殊な能力を持つ者たちと手を組んで世界の真実に迫る過程を描いたロシア発のSFアクションです。
監督:アレクサンドル・ボグスラフスキー 出演:ティナティン・ダラキシュヴィリ(アビゲイル・フォスター)、エディ・マーサン(ジョナサン・フォスター)、グレブ・ボチュコフ(ベール)、リナル・ムハメトフ(ノーマン)、ラフシャナ・クルコヴァ(ステラ)、クセニア・クテポフ(マーガレット・フォスター)、アルチョム・トカチェンコ(ウィリアム・ギャレット)ほか

映画「アビゲイル クローズドワールド」解説

この解説記事には映画「アビゲイル クローズドワールド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

感染すれば死に至るといわれる謎の疫病が全世界に蔓延し、政府によって感染拡大を防ぐための特殊なシールドが張り巡らされてから96年が経過しました。

シールドが起動した日は国民の祝日として制定され、街では感染者を特定する機器を持つ検査官が市民を常時監視し、感染したとみなされた者は政府の隔離施設へと連行されて二度と戻ってくることはありませんでした。

冬のある夜。科学者のジョナサン・フォスター(エディ・マーサン)は感染者とみなされ、政府の者たちに連行されていきました。その直前、ジョナサンはまだ幼い娘のアビゲイルに、彼女のために特別に作ったペンダントを託しましたーーー。

ーーーそれから10年後。アビゲイル(ティナティン・ダラキシュヴィリ)は美しく成長していました。謎の疫病の感染は拡大の一途を辿っており、政府は感染者の早期発見により一層力を入れていました。この疫病は感染すれば発熱、発作、幻覚症状が現れ、最終的には死に至るとされていました。感染者は政府の隔離施設に送られ、そこで安楽死処分とされていました。感染者を匿った者は反逆罪に問われ、夜間の外出なども厳しく制限されていました。

シールド展開記念日の朝。アビゲイルは母マーガレット(クセニア・クテポフ)から買い物を頼まれて外に出ましたが、その直後に早速検査官に目をつけられ、家まで追い立てられました。その際、アビゲイルはこの検査官の正体はジョナサンの元部下であり、10年前のあの日にジョナサンと一緒に感染者として連行された人物であることを知りました。

アビゲイルは父の元部下はなぜ安楽死となっていないのか疑問を抱き、彼から事情を聞き出すことにしました。実は元部下は10年前に連行された際、この世界を追放されるか検査官になるかの二択を迫られ、妻子がいたためにやむなく検査官になったのです。

アビゲイルはジョナサンの元部下から、同じくジョナサンの元同僚で今は隔離施設の技術部門の責任者をしている人物が感染者に関する情報を持っていることを聞き出しました。アビゲイルはジョナサンがまだ生きていることを信じて独自の調査を行うことを決意、単身で隔離施設へと潜入しました。

ところが、施設に何者かが侵入したことで警報が鳴り響き、逃げようとしたアビゲイルは何者かと施設の者たちの戦闘に巻き込まれて気絶させられてしまいました。

気が付くとアビゲイルは、検査官すらも立ち入らないスラム街のとある建物にいました。ジョナサンからもらったペンダントはいつの間にか失われていました。このスラム街の住民たちはみな魔法のような特殊能力を持っていました。アビゲイルはそこで“教育者”と名乗る男と出会い、自分もまた特殊能力の素質を秘めていることに気付かされました。

教育者はアビゲイルに、この世界の真実を語り始めました。実は謎の疫病とは政府によるでっち上げであり、政府は特殊能力の存在と覚醒を恐れ、能力者を感染者に仕立てて身柄を拘束していたのです。アビゲイルの潜在能力の高さを見出した教育者は、彼女を反政府組織のリーダーであるベール(グレブ・ボチュコフ)という男と引き合わせることにしました。

ベールは最初のうちはアビゲイルの能力を認めようとせず、即戦力にはならないと判断しました。それでもアビゲイルは、能力者は“エンジン”と呼ばれる機器を媒体として様々な能力を発動することができ、それは応用次第では攻撃にも治癒にも利用できることを知りました。“エンジン”は時として何かの隠し場所にもなるということで、アビゲイルは10年前にジョナサンが連行される直前に何かの書類を隠していたことを思い出しました。

自宅に向かったアビゲイルは能力を駆使してジョナサンが隠していた書類とエンジンを発見、ジョナサンも能力者であったことを知りました。マーガレットは能力者ではないのですが、ジョナサンが能力者であったことを知っていました。

ジョナサンがアビゲイルに託したペンダントは能力者の能力を抑制して検査官に察知されないようにするためのものであり、ジョナサンが自分を守ってくれたと感じたアビゲイルはマーガレットを説得して自分も反政府組織に加わることを決意しました。

アビゲイルはジョナサンの元部下に書類を見てもらうと、その書類は能力者を収容する空中要塞の設計図であることが判明しました。特殊能力は能力者自身が死んだとしても失われず、他の誰かに宿って受け継がれるものであり、空中要塞の収容所にはその能力を抑制する措置が施されているというのです。

反政府組織のアジトに戻ったアビゲイルは空中要塞に乗り込むべきだと主張しましたが、ベールは結果的に政府に加担することとなったジョナサンの娘であるアビゲイルを信用できないと一蹴しました。

アビゲイルはやむなく単身で空中要塞に潜入することにしましたが、アビゲイルはジョナサンを連行した張本人である政府高官のウィリアム・ギャレット(アルチョム・トカチェンコ)に行動を知られており、ギャレットと直接対峙することとなりました。

ジョナサンが政府に協力していたのは事実でしたが、ジョナサンは誰もが平等に暮らせる社会を望んで協力したのです。ところが、ジョナサンは政府の真の狙いを知ってしまったがために連行されたのです。

ギャレットも実は能力者であり、アビゲイルを始末しようとしましたが、アビゲイルは現れたベールに助けられました。ベールは両親をギャレットによって殺されており、ギャレットへの復讐を誓っていました。危うく返り討ちに遭いそうになったベールは何とか難を逃れ、かつて能力者には“妖精”が寄り添っていたこと、そしてその妖精も政府によって連れ去られたことをアビゲイルに教えました。ベールは密かにアビゲイルに想いを寄せ始めていましたが、あえて彼女とは別行動を取ることにしました。

アビゲイルはジョナサンが残したエンジンを使って空中要塞に乗り込む決意を固めました。しかし、アビゲイルは警備局に侵入した際、反政府組織が警備局に襲撃をかける計画が敵に知られてしまったことを知りました。アビゲイルはベールにそのこと知らせましたが時既に遅く、警備局を襲撃した反政府組織は待ち構えていた検査官たちと激戦となりました。

アビゲイルは能力を使って仲間たちの逃走を手助けしましたが、逃げ遅れたベールは検査官に捕まってしまいました。実は警備局にベールの計画を漏らしたのは反政府組織のNo.2だったステラ(ラフシャナ・クルコヴァ)であり、ベールに想いを寄せていたステラはアビゲイルへの嫉妬心から政府側に寝返ったのでした。

アビゲイルは仲間たちと共に反政府組織のアジトへと引き上げました。しかし、仲間たちは誰もベールを助けようとしませんでした。アビゲイルはジョナサンのエンジンを開けてみたところ、中から1匹の妖精が姿を現し、本物の妖精を目の当たりにした仲間たちは一転してベール救出と政府打倒のため立ち上がる決心を固めました。

妖精は再びエンジンに戻り、アビゲイルは組織の技術屋であるノーマン(リナル・ムハメトフ)や仲間たち共に空中要塞に乗り込むことにしました。能力者の収容施設の奥には空中要塞へ向かうための飛空艇があり、アビゲイル一行は捕らえられていたベールを救出しました。一行は飛空艇を起動させ、妖精の道案内で空中要塞に向けて飛び立ちました。

アビゲイルらは検査官に成りすまして空中要塞に潜り込みました。空中要塞には能力者のエンジンを機能停止に追い込む能力抑制シールドが張られており、そのシールドは捕らえられている能力者の生命力によって維持されていました。ジョナサンはこのシールドの開発に携わっており、アビゲイルはジョナサンを探しましたが要塞内のどこにもいませんでした。

シールドを破壊することを決断したアビゲイルは仲間たちの協力を得て装置破壊の準備に取り掛かりました。アビゲイルはジョナサンとの思い出を振り返りながら作業を進め、ジョナサンの導きを得ましたが、アビゲイルは既にジョナサンがもうこの世にはいないことに気付きました。それでもアビゲイルはジョナサンの導きに従って能力を発動させ、シールド装置を破壊することに成功しました。

一方、時間稼ぎのために政府側と戦っていたベールは現れたギャレットに追い詰められていましたが、まだベールへの気持ちが残っているステラは政府を裏切り、身を挺してベールを助けました。

能力抑制シールドの破壊により反政府組織は一気に活気づき、遂にギャレットを倒すことに成功しました。政府は崩壊し、世界を覆っていたシールドも取り払われ、妖精も戻ってきました。世界に平和を取り戻したアビゲイルとベールは手を取り合い、新たな世界に向かって歩み出しました。

以上、映画「アビゲイル クローズド・ワールド」のあらすじと結末でした。

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