映画「CLOSE/クロース」ネタバレあらすじ結末と感想

CLOSE/クロースの紹介:2022年ベルギー, オランダ, フランス映画。第75回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した『CLOSE/クロース』。監督は2018年に『GIRL/ガール』で第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞したベルギーのルーカス・ドン。脚本も担当し、自身の経験を基に少年たちの友情と悲劇を描いた。主人公レオを演じたエデン・ダンブリンは電車で監督に声をかけられ、オーディションで役を射止めたという。レミ役のグスタフ・ドゥ・ワエルもオーディションでダンブリンとペアを組んでの演技が評価され抜擢された。
監督・脚本:ルーカス・ドン 出演:エデン・ダンブリン(レオ)、グスタフ・ドゥ・ワエル(レミ)、エミリー・ドゥケンヌ(レミの母・ソフィ)、レア・ドリュッケール(レオの母・ナタリー)、イゴール・ファン・デッセル(レオの兄・チャーリー)、ケヴィン・ヤンセンス(レミの父・ピーター)ほか

映画「CLOSE/クロース」解説

この解説記事には映画「CLOSE/クロース」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

美しい花を栽培している農家の二男レオは幼なじみのレミと大の仲良し。いつもふたりで遊び、夜はレミの部屋でいっしょに寝ています。家族同様のレオをレミの母ソフィや愛犬はいつも歓迎しています。

レオはオーボエの練習をするレミの姿を見つめながら、将来はレミのマネージャーになって世界中を旅しようと楽しそうに語ります。繊細なレミはその晩眠れず、レオは自分が創作した物語を話して聞かせます。そしていつの間にかふたりはくっついて眠っていました。

中学生になったふたりは、朝いっしょに自転車で登校します。活発な他の生徒たちに圧倒されるふたり。同じクラスになったふたりはとなりに座り、女子たちに仲の良さをからかわれます。「ふたりはつきあってるの?」その言葉に動揺したレオは幼なじみだから仲がいいだけ、君たちだって仲良しだろう?と反論しますが、彼女たちの目には好奇の感情が混じっていました。

昼休み。いつものようにレオの身体に頭を乗せて寝ようとするレミ。レオは人目を気にして身体をずらし接触を避けようとします。

休日。演奏会でオーボエのソロを吹くレミの姿をレオは愛おしそうに見つめています。

学校では身体の大きな男子や調子のいい男子が繊細な雰囲気のレオやレミにちょっかいを出してきます。

ある日の放課後。帰ってからふたりはいつものように秘密基地で遊んでいますが、レオは浮かない様子で「帰ろう」と言います。そしていつもはレミのベッドでいっしょに寝るのにその夜レオは自分の場所で寝てしまいます。

次の朝、レミはバスルームに鍵をかけて出てきません。ソフィはレオに、よくこうやって閉じこもってしまうと話します。出てきてからも食欲がないと言って朝食に手をつけないレミ。レオが気まずそうに黙っているとレミは泣き出してしまいます。

ふたりはいつものようにいっしょに自転車で登校しますが会話はありません。学校でもひとり寂しそうなレミを気にしつつ、レオは他の男子クラスメイトと話をし、アイスホッケーの練習に参加することを決めてしまいます。

強そうなユニフォームに身を包み、屈強なコーチから歓迎されたレオは必死に練習に食らいついていきます。するとリンクの外にレミの姿が。気になって仕方がないレオは集中できません。そばに近づくとレミが自分もやってみようかなと言い出しレオは不機嫌になります。

家業の花の仕事を手伝うレオ。母ナタリーが今夜もレミの家に行くのか尋ねると「行かない」とレオは答えます。

朝早く支度をしたレオは、レミに会わないようひとりで先に学校へ向かいます。なぜひとりで登校してしまったのか、あとから来たレミはレオに食ってかかります。感情が昂ぶってしまったレミは泣きながらレオにつかみかかり、先生が止めに入らなければならないほどの大ゲンカになってしまいました。

レオは何も考えないように家の仕事やホッケーに打ち込もうとしています。

移動教室の日。バスの中での点呼にレミの返事がありません。気にしつつもクラスメイトたちと一日を過ごすレオ。バスが学校に戻ってくると、生徒たちの保護者が迎えに来ているというアナウンスがあり、ただならぬ雰囲気です。

不安でひとりバスから降りられないレオのもとへ、ナタリーがやってきてきました。「何があった?」と聞くレオに中々答えられないナタリー。問い詰めるレオに返ってきた答えは、レミがもういないというものでした。

バスから飛びおり走り出すレオ。レミの家へやってくると犬が鳴きながら近づいてきます。両親は留守で、外からはこじ開けられたようなバスルームのドアが見えました。

朝、兄のチャーリーが学校までバイクで送ってくれました。教室ではレミについて話し合う時間が設けられます。レオは話すことはないと言い、クラスメイトの発言に勝手なこと言うなと怒り出し教室を飛び出してしまいます。

レオが自室のベッドで寝転がっていると父がやってきました。レオを気づかいながらも時間だと言って出かけることを促します。その日はレミの葬儀の日。列の後方からソフィの姿を見たレオはうしろめたさを感じます。

学校では授業中に荷物を取りにきたソフィの姿を見かけ、ナタリーと出かけた音楽会では離れた席に座るソフィが気になって仕方ありません。

そんなある日、ホッケーの練習場にソフィがやってきました。緊張するレミでしたが、練習が終わりあいさつしに行きます。よそよそしい会話をしたあと、家に来てほしいとソフィは言いました。

レオの両親はレミの両親を夕食に招待しました。レミの父ピーターはなごやかにチャーリーに話しかけますが、彼が将来のことを話し始めると突然涙を流し、夕食どころではなくなってしまいます。そしてソフィは黙って庭に出て行ってしまいました。

レオはホッケーの練習中も相変わらず集中できません。ホッケーに誘ってくれた友人が泊まりにきても、ひとり眠れぬ夜を過ごしています。

レオは思い切ってレミの家を訪ねます。ピーターは仕事に行っており家の中にはソフィとレオだけです。いざソフィと向き合うとレオは早くその場から去りたくなり、ソフィの求める言葉を発することなく帰っていきます。

その後レオは、ホッケーの練習中に転倒して左腕を骨折してしまいます。病院で治療を受けるレオは、ポロポロと涙をこぼしていました。

中学最初の一年が終わり、クラスメイトたちは楽しそうにパーティに参加していますが、レオはどこかうつろな目をしています。

そしてレオは再びレミの家へ向かいます。しかしソフィもピーターも留守のため、レオはバスに乗ってソフィの職場である産婦人科の病院へとやってきました。赤ん坊を抱いているソフィは廊下に立っているレオを見て驚きます。「どうしたの?」と話しかけ、やがて仕事を終えたソフィはレオを車に乗せて走り出します。

しばらくしてようやくレオは口を開きます。「ぼくのせいだ。ぼくが原因だ」と。
レオは泣き、ソフィの頬にも涙が流れます。そして耐え切れず「降りて!」と声を荒げてしまいます。

反射のように車から降りるレオ。そこは良く知らない森の中でしたが、車から離れるようにどんどん奥へと歩いていきます。

少し経って冷静さを取り戻したソフィは車を降りるとレオを追って森に入っていきます。
「レオ!」と呼ぶソフィの声にレオは怯え、拾った枝を持って身構えます。そんなレオに近づいたソフィはやさしくそっと抱きしめるのでした。

ギプスの取れたレオはまたレミの家を訪れます。いつも鳴いて迎えてくれた犬の姿はなく、家の中はガランとしており既にソフィたちは引っ越したあとでした。

かつてレミとふたりで走った花畑をひとり疾走するレオ。ふと立ち止まり振り返るその目は何を見ているのでしょうか。

以上、映画「CLOSE/クロース」のあらすじと結末でした。

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