映画「その男は、静かな隣人HE WAS A QUIET MAN」ネタバレあらすじ結末と感想

その男は、静かな隣人の紹介:2007年アメリカ映画。殺人犯を射殺したことで一変した男性の人生を描くサスペンス作品。うだつの上がらない中年男性ボブは、会社の人間を射殺する妄想でストレスを発散していた。そんなある日、ついに我慢の限界に達したボブは妄想を現実にしようと銃を手に取る。しかしボブが発砲するより早くオフィスに銃声が響いた。同じくストレスを溜めていたらしい同僚コールマンが、ボブより一歩先に発砲事件を起こしてしまったのだ。ボブはコールマンを射殺したことで、勇気ある英雄として扱われるようになる。ボブが密かに想いを寄せていた女性バネッサも発砲事件の被害者で、神経を損傷し全身にマヒが残ってしまった。ボブはバネッサに献身的に尽くし、彼女から信頼されることで前向きになっていくが、次第に疑心暗鬼に陥っていく。
監督:フランク・A・カペロ 出演者:クリスチャン・スレイター(ボブ・マコーネル)、エリシャ・カスバート(バネッサ・パークス)、ウィリアム・H・メイシー(ジーン・シェルビー)、ジョン・ギャラガー(ゴールディ/モーレンス・グレゴリー)、マイケル・デルイーズ(ソレンソン刑事)ほか

映画「その男は、静かな隣人HE WAS A QUIET MAN」解説

この解説記事には映画「その男は、静かな隣人HE WAS A QUIET MAN」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

舞台は現代アメリカ、カリフォルニア州。冴えない中年男性ボブ・マコーネルは、毎日ストレスを溜め込んでいました。高慢な年下の上司、見下して憚らない同僚達、何かにつけてセクハラを訴える自意識過剰な女性社員。彼らに不満を募らせながらも面と向かって抗議出来ないボブには、決まったストレス解消法がありました。

気に食わない人間を射殺する妄想をしながら、一発ずつ銃弾を装填していくのです。射殺用の5発と、自殺用の6発目を装填し、銃を握り締めるボブ。しかし実行に移すことはなく、ため息を吐いて弾を抜き、デスクにしまうのが彼の普段の行動でした。

ところがある日、ついに理不尽に耐え切れなくなったボブは、妄想を現実にしようと銃を手に取ります。いつものように6発目を装填しようとすると、誤って床に落としてしまいました。ボブが慌ててデスクの下に潜ると、突然銃声が鳴り響きます。悲鳴と人が倒れる音を聞きながら、ボブは呆然と体を起こしました。

すると同僚のコールマンが銃を手に立っています。ボブと同じくストレスを溜めていたらしい彼は、ボブよりほんの少しだけ先に発砲事件を起こしたのです。倒れている犠牲者の中には、バネッサ・パークスの姿もありました。ボブは笑顔の素敵な彼女に密かに想いを寄せています。

まだ息のあるバネッサにトドメを刺そうとするコールマン。ボブはバネッサを守るため、持っていた銃でコールマンを射殺しました。

5人を殺害したコールマンを射殺したことで、ボブは突然勇気ある英雄として扱われるようになります。新聞記者が自宅に押しかけ、隣人から初めてバーベキューに誘われ、出社すれば万雷の拍手で迎えられました。会社の最上階へ案内されたボブは、社長のジーン・シェルビーと、彼が雇った精神科医モーレンス・グレゴリーに会います。

上機嫌のジーンはボブを副社長に昇進させました。困惑するボブに対し、ジーンは副社長としての初仕事だと言って、入院中のバネッサに手紙を届けるよう命令します。バネッサは背骨に銃弾が当たったことで神経を酷く損傷し、全身にマヒが残ってしまいました。指1本自分の意志では動かせないバネッサは、死んだ方がマシだったと泣き叫びます。

見舞いに訪れたボブを一度は拒絶したバネッサでしたが、二度目の訪問で頼みがあると言い出しました。人生に絶望した彼女は、自殺を手伝って欲しいと言うのです。悩みに悩んだボブは、結局退院するバネッサを迎えに行きました。

バネッサの言いつけ通り駅に向かったボブは、傾斜になっているホームで車椅子から手を離します。バネッサを乗せた車椅子は急行列車に轢かれるため進んでいきました。しかしホームから転落する寸前で、ボブが車椅子を掴みます。やはり出来ないと謝るボブに、死なせてと叫ぶバネッサ。

すると不思議なことが起こりました。バネッサの右手の小指が動かせるようになったのです。

急いで病院へ連れて行くと、驚いたことにバネッサの損傷した神経が回復の兆しを見せているそうです。バネッサはとても喜び、ボブにキスをしました。有頂天になったボブは、それから前向きに人生を送り始めます。

手付かずの庭を綺麗にし、他人とも積極的に交流し、会議でも自信を持って発言するようになりました。更に退院したバネッサの世話を献身的に続け、晴れて恋人同士になります。順風満帆の毎日でしたが、ある日バネッサが事件現場を見たいと言い出しました。

ボブは心配しつつ、バネッサを会社へ連れて行きます。そこへジーンがやって来て、小指が動いているバネッサを見て驚愕しました。バネッサはこれまで出世のため、数々の男性に抱かれてきました。ジーンもその内の1人です。ボブはこんな体になっていなければ、バネッサは自分ではなくジーンを選んだのではないかと考え始めました。

案の定、ジーンはバネッサとヨリを戻したいと考えます。彼はバネッサへのプレゼントをボブに買わせようとしました。ボブがジーンは妻帯者であり、こんな行動は不適切だと指摘すると、ジーンは馬鹿にしたように笑います。そしてもしバネッサが回復し、自分で何でも出来るようになれば、ボブは必要なくなり捨てられるだろうと言いました。

疑心暗鬼に陥ったボブが取り乱しながらオフィスに戻ると、モーレンスが待っていました。いつも見透かすような目をしているため、ボブは彼から逃げ回っていたのです。モーレンスは、ボブが副社長になったのは能力を認められたからではなく、自分と相談するためだと言い出しました。モーレンスはボブには助けが必要だと語ります。しかしボブは混乱し、取り乱しながら暴れ回りました。

会社を飛び出したボブは、完全に回復したら自分を捨てるつもりだろうとバネッサに詰め寄ります。バネッサは静かな声で、本当に欲しいのはボブの心と魂だけだと言いました。自分を愛しているかと尋ねるボブ。しかしバネッサは、無意味な言葉だと涙を流します。錯乱状態のボブは、初仕事としてジーンから渡された手紙をバネッサに渡し損ねていることに気付きました。

封筒の中には、手元には置いておけなかったというメッセージと、バネッサとジーンの親しげな写真が入っています。翌日、ボブはジーンを殺すつもりで会社に乗り込みました。興奮しながら社内を歩き回り、ちょうど事件現場に立ったボブは、ふと気付くと発砲事件直前に戻っていました。

ボブはいつの間にか銃を手にしており、それに気付いた同僚達が悲鳴を上げて逃げていきます。コールマンという人間は存在していませんでした。コールマンを射殺したことも、英雄として扱われたことも、バネッサと恋人になったのも、全てボブの妄想だったのです。

ボブの視線の先には、何も変わらず健康的なバネッサがいます。ボブは彼女をじっと見つめ、そのまま銃で自殺しました。後にインタビューを受けた隣人がボブのことを「無口だった」と答え、この映画は終わりを迎えます。

以上、映画「その男は、静かな隣人」のあらすじと結末でした。

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