ラブ＆ピースの紹介：2015年日本映画。「ラブ&ピース」は園子温監督の「愛」をテーマにした映画作品です。園子監督初の特撮技術を使った大変変わった作品です。うだつが上がらない主人公が屋上で亀を拾ったことにより巻き起こるファンタジックな出来事を描いています。謎の老人役を西田敏行が演じています。いつもクールでかっこよい役が多い長谷川博己がこの上なく惨めな主人公を演じます。
監督：園子温 出演者：長谷川博己(鈴木良一 )、麻生久美子（寺島裕子)、西田敏行（謎の老人)、渋川清彦(マネージャー／稲川さとる)、マキタスポーツ(良一の会社の課長)、ほか
映画「ラブ＆ピース」解説
この解説記事には映画「ラブ＆ピース」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
主人公の鈴木良一は歌手になりたいという夢を持ちながらも、楽器屋の部品製作会社に勤めるうだつの上がらないサラリーマンです。いつも挙動不審なため、職場のみんなからいじめられ、いつも惨めなおもいをしていました。ある日、昼休みの屋上で小さな亀を拾います。良一は亀に魅了され「ピカドン」と名付けて飼うことになります。亀はいつしか良一の心の拠り所となり、毎晩良一の夢や職場で好きになった裕子の話を亀に聞かせていました。亀を職場にも連れて行き、ジャケットのポケットに入れていましたが、ある日その亀を職場の人に見つけられ冷やかされてしまいます。パニックになった良一は亀をトイレに流してしまいます。
亀を失い良一は抜け殻のようになってしまいます。一方亀は排水管から街を流れ、謎の老人の住む不思議な場所にたどり着きます。そこには人間の捨てたペットや人形が集まる場所でした。老人は彼らが喋れるようになる不思議な飴を作ることができ、亀にも食べさせようしますが、間違えて主人の夢を叶える飴を食べてしまいます。それからと言うもの、亀の主人である良一はロック歌手になるろいう夢を叶い始め、どんどんビックになっていきます。自分をいじめていた職場の連中を見返す気持ちで夢を叶えていき、良一が心配になって訪れた裕子のことも追い返すくらいの、ナルシストで態度のでかい男になってしまいます。亀は夢を叶える度に体が大きくなってしまうという副作用がありました。
亀はどんどん大きくなり、良一はどんどんビックになっていきます。しかし良一はビックになったものの曲が作れなくなります。良一は亀を想ってかいた曲がヒットしてビックになりましたが、亀がいないと曲がつくれませんでした。亀は良一に曲を作ってもらうため、謎の老人に外へ連れ出してもらうようお願いします。その付き添いに人形たちが数体ついていきます。人形たちは人間に捨てられたものの、まだ自分元の人間の場所に帰れるとどこかで信じていました。ところが元の主人は自分たちのことをすっきり忘れている悲しい現実を目の当たりにします。亀の出現に驚く良一でしたが、昔の情けない自分を思い出してしまい、亀に寄り添うことができません。こうしているうちに「大きい亀」が現れたということで、亀は科学研究所に捉えられてしまいます。
ぼろぼろに帰ってきた人形たちを前に謎の老人は、あることを決意します。一方亀はますます大きくなります。研究所に現れた謎の老人はサンタの恰好をし、亀にある飴をなめさせます。その後老人は家に帰ると、そこにいた捨てられたペットやおもちゃを新品の状態にします。「もう二度とここへきてはいけないよ。」と言います。老人はサンタの恰好をしておもちゃやペットたちをそりに載せて、街の子供たちに配りに行きます。亀はゴジラのように大きくなり、競技場でコンサートを開いている良一の元へ向かいます。巨大亀の出現により東京は大混乱となりますが、奇跡的に犠牲者は出さずに良一の元げたどり着きます。
亀は歌っている良一に本当の良一の想いを訴えます。訴えた後巨大亀は砂のように消えてしまいます。亀が消えたことにより本来の自分を取り戻した良一はコンサート会場を抜けだし街をさまよいます。街をさまよった良一は自分が住んでいた狭いアパートにたどり着きます。その部屋で放心状態でいるところ、一匹の亀が寄り添います。それはまさしくピカドンでした。良一は喜びます。そして裕子が良一のアパートの扉を開けようとするところで物語は終わります。
以上、「ラブ&ピース」のあらすじと結末でした。