映画「イニシェリン島の精霊」ネタバレあらすじ結末と感想

イニシェリン島の精霊の紹介:2022年イギリス, アメリカ, アイルランド映画。20世紀前半、本土の戦乱に巻き込まれず平穏だったアイルランド諸島の架空の孤島を舞台にしたブラックコメディ映画です。平穏な暮らしを送っていた主人公はある日突然長年の親友から絶交を言い渡され・・・。本作は第80回ゴールデングローブ賞で7部門にノミネートされ、うち作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門、コリン・ファレル)、脚本賞の3部門を受賞しています。
監督:マーティン・マクドナー 出演者:コリン・ファレル(パードリック・スーランウォーン)、ブレンダン・グリーソン(コルム・ドハティ)、ケリー・コンドン(シボーン・スーランウォーン)、バリー・コーガン(ドミニク・キアニー)、ゲイリー・ライドン(ピーダー・キアニー)、パット・ショート(ジョンジョ・ディバイン)、シーラ・フリットン(マコーミック夫人)、ブリッド・ニー・ニーチテン(オリオーダン夫人)、ジョン・ケニー(ジェリー)、アーロン・モナハン(デクラン)、デビッド・ピアース(司祭)、ラセアフィオナ・ニー・チョナオラ(歌手)、ジョン・カーティ(ミュージシャン)ほか

映画「イニシェリン島の精霊」解説

この解説記事には映画「イニシェリン島の精霊」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

1923年、アイルランド内戦末期の時代。アイルランド諸島の孤島・イニシェリン島は戦乱に巻き込まれることなく平穏を保っていました。この島に住むパードリック・スーランウォーンはいつも親友で音楽家のコルム・ドハティと昼間からパブでビールを飲んで語り合う日々を過ごしていました。

そんなある日、バードリックはいつものようにコルムの家を訪れて飲みに誘いましたが、コルムはなぜか黙したまま応じようとしませんでした。仕方なく自宅に戻ったバードリックは妹のシボーンからもう一度パブに行ってみればと促され、ひとりでパブに向かいました。

バーテンダーから今日はひとりなのかと尋ねられたバードリックはもう一度コルムを誘ってみることにし、彼の家に向かいましたが、コルムは行き違いで既に外出した後でした。バードリックは再びパブに戻ると、そこにはなんとコルムの姿がありました。

コルムはバードリックを冷たくあしらい、バードリックは理由を聞こうとしましたが、コルムは理由を語らず「ただ嫌いになった」とだけ告げてその場を去りました。事実上のバードリックへの絶交宣言でした。バードリックは失意のうちに家に引き上げることにしました。

バードリックは帰路の途中で島の警察官ピーダー・キアニーの息子で変わり者のドミニクと会いました。ドミニクはなにかとバードリックに絡んできましたが、バードリックは無視して帰宅しました。

バードリックの家には普段めったに訪ねて来ないマコーミック夫人が訪れていました。バードリックがコルムと仲違いしたことを知ったマコーミック夫人に、バードリックはコルムとは今でも親友だと強調しましたが、マコーミック夫人はそれは違うと否定しました。

居心地が悪くなったパードリックはパブに向かいました。対岸のアイルランド本土の内戦はより一層激しさを増しており、バードリックの耳にも砲撃の音が聞こえていましたが、バードリックは意に介しませんでした。

パブではコルムが客たちを前にバイオリンを弾いていました。そこにパブへの出入りを禁じられているはずのドミニクがやってきました。バードリックは音楽を楽しむ客たちの中でポツンと様子を伺っていましたが、バードリックとコルムの仲違いを知ったドミニクが場の空気を読まずコルムは12歳の子供のようだと発言してしまいました。

バードリックはドミニクを連れてその場を立ち去り、ピーダーの家に行くとこっそり酒をかっさらって外で飲み明かすことにしました。ドミニクはかねてからシボーンに気があり、ハードリックに彼女のことを尋ねてきましたが、バードリックの心情はそれどころではありませんでした。

シボーンはパブに出向き、コルムになぜ兄と仲違いしたのか問い質しました。コルムはパードリックは退屈な男であり、自分は音楽活動に専念したいのでバードリックと過ごす時間は無駄でしかないと答えました。バードリックはその答えに納得がいきませんでしたが、コラムはそれでもなお自分に構い続けるならばその度に自分の指を1本切り落としてバードリックにくれてやると言い放ちました。

ドミニクはピーダーの酒を盗んだことがバレて暴行を受け、バードリックはドミニクを一晩自宅に匿ってあげることにしました。ドミニクはシボーンに話しかけようとしてかえって怒らせてしまいました。

相変わらずバードリックを無視し続けるコルムでしたが、ある日バードリックがピーダーに暴行を受けているところに遭遇しました。バードリックはピーダーがドミニクに暴行したことを指摘したのです。コルムはこの時ばかりはバードリックを助け、バードリックもこれで二人の友情も元通りに戻るのかと思いましたが、コルムは再びバードリックを無視し始めました。

パードリックはやけ酒を煽り、泥酔した状態でコルムに絡みました。バードリックは自分の3つの嫌いなものを挙げ、警官(ピーダー)、バイオリン弾き(コルム)まで挙げましたが3つ目はどうしても出てきませんでした。そこにシボーンが迎えに訪れ、バードリックは帰路につきました。

翌日、パードリックは昨日のことを謝るためコルムの家を訪れましたが、コルムは拒みました。仕方なく帰宅したバードリックでしたが、外から何かが投げつけられたような音がし、確認してみると切断された指が1本落ちていました。

シボーンは指が入った箱を持ってコルムの家を訪れました。その指はやはりコルムのものであり、コルムはシボーンにこの島から出るべきだと勧めました。シボーンはアイルランド本土の図書館職員募集に応募していました。

パードリックはパブで、コルムが音楽学校のデクランと話しているところを目撃しました。激しい嫉妬に駆られたパードリックはデクランを島から追い出す計画を立て、デクランの後をつけるとデクランの父が車に撥ねられたと嘘をつきました。後でバードリックはそのことを自慢げにドミニクに話しましたが、ドミニクはバードリックの行動に幻滅を覚えていました。

その帰り道、パードリックはたまたまマコーミック夫人の姿を見かけました。バードリックは物陰に隠れてやり過ごそうとしましたが、マコーミック夫人はバードリックに「島にふたつの死が訪れる」と意味深な発言をしました。帰宅したバードリックはシボーンが泣いていることに気づきましたが、シボーンは事情を話そうとしませんでした。

あくる朝、シボーンは湖畔の対岸にマコーミック夫人の姿を見ました。マコーミック夫人は誰かを手招きしているかのようでした。そこにドミニクが現れ、シボーンにプロポーズしましたが彼女はそれを断りました。こうなることは予想していたというドミニクは向こうの方に用があると告げて岸に向かって去っていきました。

シボーンはこの島を出ることをバードリックに告げ、船に乗って去っていきました。シボーンに去られ、ドミニクからも軽蔑されたバードリックは深く動揺し、飼っているロバのジェニーと寂しく過ごすことになりました。

思い立ったバードリックはコルムの元を訪れました。コルムは「イニシェリンの精霊」という曲を書き上げたことを告げ、この曲はバードリックの葬式で演奏することにならなければいいがと本気なのか冗談なのかわからない言葉を吐きました。バードリックはデクランを島から追い出したことを明かし、二人は険悪なムードになりました。

その帰り、バードリックはピーダーと出くわし、またドミニクを匿っているのかと絡まれました。そこにマコーミック夫人が現れてビーダーを湖畔に連れていき、水死したドミニクの遺体を見せました。

その頃、コルムは左手の指すべてを切り落とし、バードリックの家に投げつけました。バードリックが帰宅すると、可愛がっていたロバのジェニーがコルムの指を誤飲して死んでいるのを見つけました。

コルムはバプで仲間たちと「イニシェリン島の精霊」を演奏していました。そこにパードリックが現れ、ジェニーが死んだことを伝えると、明日の2時にコルムの家を燃やすと予告して去っていきました。

翌日、パードリックは予告通りにコルムの家に火を放ちました。コルムは逃げ出して難を逃れました。一方、アイルランド本土にいるシボーンはパードリック宛てに手紙を書き、一緒に本土で暮らそうと綴りました。

翌朝、バードリックは浜辺に立っているコルムのもとを訪れました。コルムは対岸からもはや砲弾の音が聞こえなくなっていたことに気づき、バードリックにこれでおあいこだから終わりにしようと呼びかけました。しかし、パードリックはコルムが生きている間はおあいこではないと返し、終わらない方がいい戦いもあると言いました。マコーミック夫人は焼け焦げた廃墟の椅子に座っていました。

以上、映画「イニシェリン島の精霊」のあらすじと結末でした。

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