映画「EO イーオー」ネタバレあらすじ結末と感想

EO イーオーの紹介:2022年ポーランド, イタリア映画。監督・脚本家として長年活躍している1938年生まれのイエジー・スコリモフスキ監督。2016年にヴェネチア国際映画祭で生涯功労金獅子賞を受賞した監督の最新作は、図らずも放浪することとなった一頭のロバが主人公の現代の寓話。ロベール・ブレッソン監督『バルタザールどこへ行く』(1966年)にインスパイアされたと監督は語っている。ポーランドの有名俳優、マテウシュ・コシチュキェビチやフランスを代表する俳優、イザベル・ユペールが出演している。
監督: イエジー・スコリモフスキ 出演:サンドラ・ジマルスカ(カサンドラ)、ロレンツォ・ズルゾロ(ヴィトー)、マテウシュ・コシチュキェビチ(マテオ)、イザベル・ユペール(伯爵夫人)、ほか

映画「EO イーオー」解説

この解説記事には映画「EO イーオー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

赤い照明が明滅するステージの中で横たわる一頭のロバ。心配そうな女性の介抱によって立ち上がり拍手喝采を浴びます。それはオリオン・サーカスの演目のひとつで女性の名はカサンドラ、ロバはEOと呼ばれています。

カサンドラはやさしくEOに愛情を注いでいますが、他の男性団員はステージのない日は荷物運びにEOをこき使っています。

ある日、サーカスが滞在している町で動物虐待を禁止する条例ができ、サーカスは動物虐待だというプラカードを持った人たちに一座は囲まれます。動物は没収され、EOはカサンドラと引き離されてしまいました。

小さなトラックで馬の保護施設へと連れてこられたEOはそこで荷物運びの仕事をすることに。オープンのセレモニーでは演説やテープカットが行なわれ、EOはニンジンの首飾りをかけてもらっていました。その施設では一頭の白馬がスターホースで撮影や調教に大忙し。丁寧に体を洗われていますが当の白馬はストレスが溜まっているようです。

ある朝、白馬が興奮して暴れそうになったとき、まるで注意をそらすかのようにEOは棚にぶつかって破壊し物を落としてしまいます。その失敗によりEOは施設を追い出されてしまいます。

次にやってきたのはロバ牧場でした。他のロバになじめないEOは差し出されたニンジンに見向きもしません。そしてカサンドラが自分を呼ぶ声が聞こえたような気がしました。

その牧場ではダウン症など障害児のケアが行なわれており、子どもたちはロバとふれあったり、ロバに乗って山歩きを楽しんだりしています。EOもいっしょに山へ行き、倒木を歩くアリを眺めたりしました。

その夜、「EO!」と呼ぶ声とともにカサンドラがやってきました。男性が運転するバイクに二人乗りでやってきた彼女は少し酔っているようで、EOに誕生日プレゼントだといってニンジンマフィンを持ってきてくれました。EOから離れない彼女に男性は「俺とロバ、どっちを選ぶ?」と聞き、答えがないので怒ってバイクで走り去ってしまいます。

しばらく彼女はEOをなでていましたが、遠くでクラクションが鳴ると「行かなきゃ」と言って去って行ってしまいました。赤いテールライトに照らされたカサンドラの顔は不機嫌そうでしたが、ヘルメットをかぶりバイクにまたがりました。

EOは柵を壊し道に出て彼女を追いますが追いつけるはずもなく、車にひかれそうになり仕方なく道をそれていき森の中へと入っていきます。そこではオオカミの遠吠えが聞こえ、キツネやミミズクの姿もありました。

しばらくするとあちこちからレーザービームが差し込み、EOの身体にも緑の点が映ります。その後、銃声が聞こえ、EOの近くにいたオオカミが血を流して倒れます。そっとその場を去ったEOはやがて山肌にあるトンネルの入口にやってきました。そこはどこかに通じる通路のようで薄明りが続いています。中に入るとコウモリの群れが飛び出してきました。

その後草原や風力発電機のある山を越え、EOは人気のない朝の町へたどり着きます。店のショーウィンドウから中の水槽で泳いでいる熱帯後に向かって吠えていると、町の作業員につかまってしまいます。

作業車につながれサッカー場まで連れてこられたEOは、通りかかった男性によって縄を解かれ自由の身に。そこでは地元チームの試合が行われており、ちょうど相手チームのフリーキックのタイミングで興奮したEOが暴れたためキックは外れてしまいます。地元チーム〝ズリヴ〟が勝ち、EOはラッキーアニマルとしてもみくちゃにされます。

相手チームは無効だ!と抗議しますが聞き入れられませんでした。EOは勝利パレードとともに町へと凱旋し、とある店で行われる勝利パーティに連れてこられます。酔った人々におもちゃにされ疲れたEOが外に出ると、あたりは夜になっていました。

するとそこへ怒りのおさまらない相手チームのサポーターが車2台で乗りつけ、バットを振り回してズリヴサポーターを襲撃します。彼らに見つかったEOも取り囲まれ殴り倒されてしまいました。

動物病院で保護されたEOは瀕死の状態でしたが一命を取りとめます。その後、たくさんのキツネが檻に入れられているところで荷物運びをさせられるようになったEOは、そこにいる男がよくない人間だと思ったのか彼がしゃがんだところを後ろ足で蹴り上げ昏倒させます。

その後、照明が点滅する通路を歩いていたEOは、数頭の馬とともにトラックに乗せられようとしていました。リストにロバは載っていませんでしたが、ロバはサラミになると言われ運転手のマテオは渋々EOを荷台に乗せます。

雪山を抜け走り続けるトラックはパーキングエリアでとまり、マテオは顔を洗って着替え食べるものを買います。物乞いの外国人女性に声を掛けトラックへと誘うマテオ。しばらくして女性が助手席に乗り込み、言葉が通じないながらも食べ物を与えて話しかけます。マテオが冗談で「セックスは?」と聞くと女性は怒って降りてしまいます。やっちまった、と反省しているマテオの首を、突然現れた男が外からナイフで切り裂いていきました。

ヴィトーという男が実家に帰るため車を走らせていましたが故障で止まってしまいます。仕方なく荷物を持って歩き始めたヴィトーは、パーキングエリアで警察官がトラックから馬を下ろしている光景を目にします。見るとEOが一頭離れた場所につながれていました。ヴィトーはEOに「何があった?」と話しかけ、いっしょに連れていくことにします。

小さなトラックに荷台に乗せてもらいEOは草を食べていますが、ヴィトーがロバのサラミを食べたことがあると話しすっかり食欲をなくしてしまいます。やがて到着したヴィトーの実家は大きな伯爵家でした。既に伯爵は他界し、屋敷にはヴィトーの義理の母である夫人と従者の女性しかいません。

聖職者であるヴィトーは勤め先を停職になりここに戻ってきたのですが、キャンブルで作った借金のせいでこの屋敷も手放すことになっています。伯爵夫人はヴィトーに停職になった理由をたずねますが彼は答えません。彼女はキッチンにある皿を一枚一枚割っていき、カトラリーをぶちまけます。ヴィトーは立ち上がって夫人に近づき、おそるおそるキスをしようと顔を近づけるのでした。

庭にいたEOは開いていた門から外に出ていきます。カサンドラのことを思っていたEOはやがて放水中のダムへとやってきます。流れる水を見ていたEOは飲み込まれるような感覚に陥ります。

その後、牛やヤギの群れに合流したEOはいっしょに細い通路へと誘導されていきます。EOは知る由もありませんが、そこは大規模な食肉加工のための牧場でした。

以上、映画「EO イーオー」のあらすじと結末でした。

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