映画「嘘八百 なにわ夢の陣」ネタバレあらすじ結末と感想

嘘八百 なにわ夢の陣の紹介:2023年日本映画。中井貴一と佐々木蔵之介がダブル主演を務める『嘘八百』シリーズシリーズ第3弾です。詐欺師まがいの古美術商(中井貴一)と贋作づくりのプロである陶芸家(佐々木蔵之介)コンビが今回挑むのは豊臣秀吉ゆかりの茶碗。本作のキーマンとして安田章大(関ジャニ∞)が約7年ぶりとなる映画出演を果たしています。
監督:武正晴 出演者:中井貴一(小池則夫)、佐々木蔵之介(野田佐輔)、安田章大(TAIKOH)、中村ゆり(山根寧々)、友近(野田康子)、森川葵(大原いまり)、前野朋哉(野田誠治)、宇野祥平(材木屋)、塚地武雅(田中四郎)、吹越満(青山一郎)、松尾諭(委員長)、酒井敏也(2代目よっちゃん)、桂雀々(後醍醐)、山田雅人(番頭)、土平ドンペイ(マスター)、高田聖子(恵美子)、麿赤兒(紙芝居屋)、芦屋小雁(樋渡)、升毅(雑賀万博)、笹野高史(小出盛夫)ほか

映画「嘘八百 なにわ夢の陣」解説

この解説記事には映画「嘘八百 なにわ夢の陣」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

詐欺師まがいの商売を繰り広げる古美術店「獺(かわうそ)」店主の小池則夫(中井貴一)、普段はうだつの上がらない男ながらも贋作作りのプロである陶芸家の野田佐輔(佐々木蔵之介)。

店は相変わらず繁盛せず、則夫の娘・大原いまり(森川葵)のタロットカード占い師稼業だけは繁盛しているという現状です。

そんなある日、大阪城の発掘調査で発掘されたとある椀片が話題を呼んでいました。それは伝説の天下人・豊臣秀吉の出世を後押ししたとされる7つの縁起物「秀吉七品」のひとつにして唯一所在不明だった幻の「鳳凰の銘がついた茶碗」ではないかという噂が流れていました。

その頃、則夫は動画配信サイトで「秀吉七品」の解説動画をアップしていましたが、全くといっていいほど再生回数が上がりませんでした。いまりからも呆れられる則夫でしたが、旧友であるテレビ番組プロデューサーの青山一郎(吹越満)に呼び出され、大阪で開催される予定の「大阪秀吉博」の実行委員会に連れて行かれました。

則夫はその場でいきなり総合プロデューサーへと祭り上げられ、無責任な顧問たちから客寄せのために「鳳凰」をこしらえたらどうかと提案されて困惑しました。

時を同じくして、世間では描く絵から良い“波動”が出るというカリスマ波動アーティスト・TAIKOH(安田章大)が話題になっていました。TAIKOHが所属する財団「TAIKOHクリエイション」は「秀吉七品」のうち6品を手中に収めており、財団のトップである謎の女・山根寧々(中村ゆり)は最後のひとつである「鳳凰」を何が何でも欲していました。

寧々は佐輔の腕を見込み、100万円という報酬で「秀吉が茶をたてる茶碗」を作ってほしいと依頼しました。寧々は作陶のための設備も用意しており、佐輔は「鳳凰」のことを何も知らないまま依頼を引き受けてしまいました。

則夫は「秀吉七品」を見物に来た際にたまたま佐輔と遭遇しました。則夫は「鳳凰」を「大阪秀吉博」に出すべく佐輔に手を組もうと持ちかけましたが、佐輔は自分が依頼されたのは「秀吉が茶をいれる茶碗」であって「鳳凰」ではないと言い張り誘いを断りました。

早速作陶に取りかかった佐輔でしたが、「鳳凰」のことを知らされてからというもの中々アイデアが浮かび上がりませんでした。その頃、TAIKOHもまたスランプに陥っており、思うような絵を描けずに苦悩していました。

寧々はそんなTAIKOHに必ず「鳳凰」を手に入れると告げましたが、TAIKOHが絵を描けなくなったことによりTAIKOHクリエイションは資金繰りが行き詰まりかけており、波動水や波動グッズなど怪しげな商品を売り出すまでになっていました。

寧々が思いついた奇策とは、何とTAIKOHクリエイションの主催によるもうひとつの「大阪秀吉博」開催というものでした。世間の関心はどちらの博覧会に本物の「鳳凰」が出典されるのかに向けられるなか、寧々は未だに作陶に入れないでいる佐輔を解任し、他の陶芸家を探すことにしました。

一方の則夫も、実は実行委員会が総合プロデューサーに据えたかったのは秀吉研究の第一人者である「小出盛夫」であることが判明、あえなくプロデューサーを解任されました。

そんな時、佐輔はある夢を見たことでひとつのヒントを得ました。それは、水の上に船のように浮かぶ、まさしく鳳凰のように輝きを放っている茶碗の夢でした。一方の則夫も、協力者から秀吉の時代にあったとされるビードロ(ガラス細工)の話を聞いていました。そこで則夫と佐輔は「鳳凰」をイメージした茶碗を作ることを決意、何度も試行錯誤を重ねてビードロの茶碗作りを進めていきました。

時を同じくして、スランプに悩まされていたTAIKOHにも「鳳凰」のイメージが沸き起こり、これをきっかけにスランプを脱して創作意欲を取り戻していきました。いまりがかつて無名だった頃のTAIKOHが描いたピンクのイルカの絵を持って訪れたこともまたTAIKOHに多大な影響を与えることとなりました。いまりはTAIKOHの財団がカルトまがいの商売をしていることを危惧し、彼を救おうと考えたのです。

いよいよふたつの「大阪秀吉博」が同時開催されようというその時、則夫はテレビ番組を通じて何と“第三の秀吉博”開催をぶち上げました。秀吉博の実行委員会の面々や寧々たちが何事かと中継場所に駆けつけると、則夫は番組の目玉である「鳳凰」を用意していました。

もちろん「鳳凰」および付属品は則夫と佐輔たちが用意した贋作なのですが、秀吉研究家の小出は茶碗が納められた木箱や秀吉の文書などは鑑定の末に「本物」と判断しました。ところが、いざ茶碗の鑑定となると、小出は茶碗に混ぜられたビードロは時代背景が違うのではないかと物言いをつけ始めました。

則夫や佐輔が追い詰められたその時、TAIKOHが「僕の絵で譲ってくれますか?」と言い、大きなキャンパス一面に描かれた「鳳凰」の絵を用意しました。寧々はこの光景に涙を流しました。この際、寧々はTAIKOHの実の姉であることが判明しました。

寧々とTAIKOHが秀吉の世界に魅せられたのは、幼い頃に一緒に秀吉七品の物語の紙芝居を見たことがきっかけでした。しかし、いつしかTAIKOHらは夢を追い求めているうちに“本当の幸せ”とは何かを忘れていたのです。佐輔の茶碗に当たった光がTAIKOHの絵を照らしたその時、TAIKOHらは秀吉の遺した言葉「夢のまた夢」の極地に辿り着きました。「鳳凰」で結びつけられた佐輔とTAIKOHは握手を交わし、則夫も「これぞロマンだよ」と満足げでした。

その後、「鳳凰」は本物として博物館に展示されました。佐輔は個展を開いたところ、自分の創った茶碗よりも壁に飾ったTAIKOHの絵の方が高く売れたことに喜び、則夫を呆れされていました。

以上、映画「嘘八百 なにわ夢の陣」のあらすじと結末でした。

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