映画「落ちてきた天使」ネタバレあらすじ結末と感想

落ちてきた天使の紹介:2016年アルゼンチン映画。アレハンドロの前に突然落ちて来たフリア。謎めいた彼女は、絶望し情緒不安定の彼に生きる希望を見出させることができるのか。フリアが落ちて来た意外な理由とは?
監督:ネルトス・サンチェス・ソテロ 出演:ムリエル・サンタ・アナ、ペト・メナヘム、エクトル・ディアス、セバスティアン・ワインライチ、カリーナ・K、エルナン・フォルテ、ベロニカ・インティレ、ほか

映画「落ちてきた天使」解説

この解説記事には映画「落ちてきた天使」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。

庭先で服薬自殺をしようとしたアレハンドロの目の前に、突然見知らぬ女性が落ちてきた。救急で来た看護師は、救急車を呼ぶ事を勧めたが、真上の部屋に住んでいるという彼女は病院に行きたがらず、落ちた理由も濁すばかりで、家族にも連絡してほしくないと言う。

仕方なく嫌がる彼女を救急車に乗せると、その晩、治療を終えた彼女がギプスに松葉杖をついてやって来た。お礼に夕食に招きたいと言う彼女は、フリア・サンタンジェリと名乗った。エレベーターの無いマンションで、上階にある彼女の家まで上がるのを手伝うと、鍵がなかった。

夜間の錠前屋はお金がかかるというので、仕方なくアレハンドロは寝床を借し、買いそびれた痛み止めと、安いからと指定されたスパイダーマンの絆創膏を買い、自分はソファで寝た。

舞台音響の仕事をしているアレハンドロが、完全な無音にこだわる舞台「静寂」の稽古から帰ってくると、まだ錠前屋に電話をする決心がつかないフリアが家にいた。

彼女は三か月前にこのアパートに恋人と越して来たものの、その恋人はすでに出て行っていた。そして、なぜ道路側ではなく庭のある方に落ちたのか聞いても、はぐらかすばかりだった。結局彼女は、元恋人のイグナシオが持ったままの合鍵を持って来てもらい、部屋へ帰った。

ある日、アレハンドロが自室でドラムの練習をしていると、突然窓が割られ、庭に出ると上の部屋からフリアが夕食に招待した。食後にフリアの好きなドラマ「愛の地獄」を見たアレハンドロは、続きが見たくなり、自室のテレビは故障中のため、フリアの元を再び訪れる約束をした。そして、フリアが編んでいた帽子をアレハンドロに被せると、二人はキスをした。

翌日、アレハンドロは初日前日の舞台稽古の最中に、フリアと交わした会話を思い出し、座長のサルボに自殺に関して相談し、このままだと生活ができず実家に帰らなければならないというフリアを彼のカウンセリングに誘ったが、彼女が屋上から落ちたのは自殺願望などではなく、あくまで事故だと言った。

気まずいまま別れ、アレハンドロは上階から聞こえてくる松葉杖の音に合わせてドラムを叩き、フリアもそれに合わせて松葉杖で床を打った。しかし、松葉杖の音も聞こえなくなってしまった。

舞台初日、本番中にフリアを思い起こし、無音の劇場で暴言を吐いてしまったアレハンドロは、そのまま劇場から出て行った。そして電気屋が直していったマンションの屋上へ行くと、テレビの配線に、スパイダーマンの絆創膏で繋げられていたものがあり、フリアが電波泥棒をしようとして転落したのだと気が付いた。

アレハンドロはフリアに、彼女が落ちて来た日に自分が自殺しようとしていた事、フリアが落ちて来たことで彼女の事が心配になり生きようと思ったと告白した。しかしフリアは家賃滞納のため部屋を引き払った。

初日に暴言を吐いてしまった舞台の仕事を辞めに行くと、新聞評では沈黙を破った彼の暴言が演出として評価されており、座長はそのまま演出だという事にしたいようだった。

フリアは舞台こそ見に来なかったが、アレハンドロの部屋を訪ね、再会した二人はレストランで食事をしながら、直ったテレビで例のドラマを見る約束をした。

以上、映画「落ちてきた天使」のあらすじと結末でした。

自殺未遂をするほど落ち込んでいたアレハンドロを、振り回すようにも見えるフリア。突然落ちて来た彼女は自室に上がるくだりまで、タイトルの「落ちてきた天使」や苗字のサンタンジェロから想起される「天使」など、見る側のミスリードを誘う。アレハンドロにとってはどうだろうか。自殺を止めてくれた恩人でもあり、母を介護施設に入れ、愛犬を亡くしたばかりで、情緒不安定だった彼にとっては、突然訪れたアクシデントかもしないが、結果的に舞台の仕事も成功し、新しい趣味や恋人を作るきっかけになった、幸運をもたらした天使と言えるように思う。

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